《フリービット株式会社 代表取締役社長 CEO、株式会社ドリーム・トレイン・インターネット 代表取締役社長 石田 宏樹氏に聞く》 新たなユビキタスな世界を創造する
2008年09月02日(火)
[ 97 号]
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インタビュー
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2008年4月期連結業績において、フリービットグループ(東京・渋谷、石田宏樹代表取締役社長/最高経営責任者)は、売上高80億7400万円(前期比84.1%増)、経常利益7億200万円(同288.4%増)、当期純利益6億3200万円(同170.7%増)と、増収増益を達成した。同グループが著しい成長を遂げている要因は何なのか。石田社長に事業や人材教育について話を聞いた。

いしだ・あつき 1972年生まれ、慶応大卒。23歳でドリーム・トレイン・インターネット(DTI)設立に参画、顧客満足度NO.1プロバイダーに育てる。2000年5月フリービット・ドットコム(現フリービット)設立。2007年3月東証マザーズに上場。同年9月、DTIを子会社化、同社長を兼任する。
フリービットグループが展開するのは、インターネットビジネスを支援する、「ブロードバンド化事業」と「ユビキタス化事業」だ。
グループの両輪の一つが、フリービット株式会社だ(以下、FB)。ISPへのインフラ提供やIT企業に対し特許技術を基盤としたコアコンポーネントAPI(重要部品)を提供している。
もう一つはドリーム・トレイン・インターネット(以下、DTI)だ。個人向けにインターネット接続事業を行う。もともと同社は、三菱電機の依頼により、石田氏が設立に参画したISPだ。その後、同氏がFBを立ち上げ、後に、DTIをFBの連結子会社とした。
しかし、DTIは単なるISPという位置付けではない。同社を取り込み、グループ企業として一体化するこということには、「快適なインターネットへの接続を行い、かつ、時間・空間を越えた、より広大で利便性の高いインターネット環境を成長する」(石田氏)という狙いがあった。
長らくFBは、BtoBの領域においてビジネスを行ってきた。しかし、石田氏は、インターネットが持つ、無限の可能性を引き出すには、BtoBだけでは不十分だと考えた。「ブラウザに依存しない新しい価値や世界観を普及させるためには、ユビキタスの商材を直接、エンドユーザに対して提供する必要がありました。DTIを買収し、BtoCへの参入を果したのは、そのためです」と語る。
これにより、FBではBtoB、DTIの領域はBtoCという棲み分けを行った。こうして、フリービットグループは、「ブロードバンド化事業」に加え、「ユビキタス化事業」の成長に向け、基盤を整えた。
同グループが提唱する新たなユビキタスな世界とは、即ち、PCやブラウザへの依存からの解放を意味する。「そもそも、多くの人が、WEBブラウザ=インターネットだと誤解しています。しかし、これに依存していたのでは、真のインターネットの世界は実現できません」と石田氏は述べる。
同グループが目指すのは、WEBブラウザを通してPCとPCのみが繋がることではない。多くのモノとモノが繋がることなのだという。
「電話のネットワークの場合は、基本的には電話しかできません。しかし、インターネットは、ネットワークの価値自体を、エッジに繋がるアプリケーションが決めることができます。たとえば、東京と米国にあるパソコンにメールソフトをインストールすれば、インターネットは、メールを使えるネットワークとしての価値を持つのです」
その概念のもと、独自開発されたのが「Emotion Link」だ。これはFBが開発した通信技術(特許取得済)により、提供するユビキタスサービスのこと。これにより、エンド・ツー・エンド、マシーン・ツー・マシーン、アプリケーション・ツー・アプリケーション通信を可能にする。
PCのみに依存することなく、携帯電話などの情報端末や制御機器、さらにはアプリケーションなどにも組み込むことができる。たとえば手元のPCにUSBを差し込むだけで、遠隔地にあるPCにアクセスできるだけでなく、携帯電話からもPCにアクセスし、自宅のPCにあるファイルを携帯メールに添付するといったことも可能だ。

勇気を持って人に先んじて実行する、それが成長につながる
社員への教育 社長自ら行う
「Being The NET Frontier!(Internetをひろげ、社会に貢献する)」。フリービットグループでは、この経営理念の共有を徹底している。
「私は、企業が成長するための原動力として、理念が必要であると考えています。そして、理念を実現するために良い人材に来て欲しいと考えています。そのためには、企業として成長し続け、組織の中で、常に魅力的な上のポストを作り続けなくてはなりません。だからこそ、理念教育には魂を込めているのです」と石田氏は強調する。
その言葉通り、入社した社員に対して、石田社長自らが理念教育を行う。「もちろん、教えるのは理念ばかりではありません。新卒に対しては、コンピュータとは何か、インターネットと何か、という概念から話します。そうすれば、応用が利くようになるからです。1日みっちり教えれば、二ビット演算を使ったロボットプログラミングができるようになります。私たちには、質の高い人材を育てるノウハウを保有しているとの自負があります」と石田氏は胸を張る。
一方、中途採用者に対しては、理念教育や、インターネット検定である、「ドットコムマスター」などのスキルアップメニューが用意されている。体系的な技術を身に付けることが必要だからだ。
中途採用者に求められるのは上級レベルのスキルだ。ひと言でいえば、上流工程の設計ができるエンジニアということになる。
「当グループは、コンピュータサイエンスのレベルでインターネットにかかわってきています。ですから、技術的な部分で言いますと、通常のWEB系企業が必要としている、いわゆる『スクリプター』では難しいところがあります。もちろん、教育はしますので、誠実で伸びしろのある若い方に、是非来ていただきたいと思います。私たちの企業の成長を支えるのは、社員に他なりません。ですから、新卒も既卒も関係なく、理念に共感し、長い間勤めていただければ、非常に大きな果実が得られるものと確信しています」と石田氏は理想の人材像を展望する。
三つの重点分野 高成長の追求へ
フリービットグループは今期2年目に入る、中期経営計画「SiLK Vision 2010」の中で、3つの重点戦略を策定している。
一つは、中国ブランチの設立だ。これにより、同市場におけるユビキタス化事業を展開する。二つ目は他のISP事業者を買収し、DTIに統合すること。これには、同社のISP事業を拡大する狙いがある。三つ目は、ユビキタス家電において、従来の考えにとらわれない、さまざまな商品やシステムを提供することだ。
「日々の仕事に正解はありません。社員一人一人がおごりを捨て、迅速に動き、失敗をし、そして、速く修正することが大切だと考えています。正解を求めて立ち止まるのではなく、勇気を持って、人に先んじて実行すること。それが成長を続けることに繋がるのです」
(
文:松本美菜、写真:更科智子
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