《株式会社ISAO 執行役員・モバイルビジネス事業部事業部長 竹田 幸生氏に聞く》 「ケータイ試写会」 に見る、携帯電話プロモーションの可能性
2008年09月24日(水)
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インタビュー
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「ケータイ試写会」なるサービスをご存知だろうか。無料携帯動画サイト「MOVIEFULL」(以下ムービーフル)のコンテンツの一つで、抽選に当たれば、実施期間内に何度でも公開前の映画をフル視聴できる―携帯電話を使って、好きな時間に好きな場所で最新映画を見られるシステムだ。昨年から行われ、先ごろ映画『ひゃくはち』で行われたこの取り組み、事後のアンケートでも興味深い結果が得られたという。ムービーフルを運営する株式会社ISAOのモバイルビジネス事業部事業部長・竹田幸生氏に、同サービスについて尋ねつつ、プロモーションツールとしての携帯電話が持つ可能性を探った。

たけだ・ゆきお 諏訪精工舎(現セイコーエプソン)、アップルコンピュータ(現アップルジャパン)、コンパックコンピュータ(現日本ヒューレット・パッカード)、シマンテックを経て、昨年3月株式会社ISAOに入社。同10月に株式会社ISAO モバイルビジネス事業部 事業部長に就任。今年4月同社からは執行役員
―ケータイ試写会を始めたきっかけや背景を教えて下さい。
ケータイ試写会はその名の通り、携帯電話で映画の試写会に参加し視聴できるというサービスで、ネーミングも我々が考え出したオリジナルです。
携帯電話の世界では、着うた・着メロのように音楽に関するサービスが先行し、動画配信を手がける企業も、音楽のプロモーションビデオやライブ配信などを中心に行ってきましたが、映画に関しても、長尺のコンテンツを配信できる技術を用いて、劇場で上映しているものを携帯電話で配信してもいいじゃないか? と考えていましたし、それがムービーフルの名前の由来でもあります。
映画館は大都市近郊に集中し、試写会はさらに限られた映画館でしか行われません。また実施期間も時間も制約が多い。そこで、普及率も高く生活に溶け込んでいる携帯電話というツールで試写会を配信できれば、場所と時間を気にせず見ていただけるのでは、と考えたのが、ケータイ試写会というコンテンツに繋がりました。第1回配信が昨年11月になりますが、構想はそれよりだいぶ前からありましたね。
映画業界に「試写会は映画館でやるべきもの」という考えは強く残っていましたから、賛否両論あったようです。また当初「携帯電話で映画を先に見せてしまったら、お客さんが映画館に足を運んでくれなくなるのでは?」という見方もとても強かった。最近ようやく配給会社の方にケータイ試写会の認知が広まり、逆に「こんなプロモーションはできないか」などとご提案いただけるようになりました。

『ひゃくはち』ケータイ試写会特設サイト MOVIEFULL(http://mful.jp)内に設けられ、配信は7月31日~8月1日に実施された

5回目となるケータイ試写会は映画「ヒトリマケ」を、10月、2回に分けて実施
―7月の『ひゃくはち』ではアンケートをとられていますね。集計資料によると、携帯端末で動画というスタイルにも関わらず、年齢の高い層もケータイ試写会を視聴しています(※)。それに、先ほどの「映画館から足が遠のく」という懸念に反し、「もう一度映画館で見たい」という回答も50%近く占めていますね(表A)。
(※《応募者性別》 男性51% 女性49% 《応募者年齢》 【男性】~19歳:13%、20~34歳:35%、35~49歳:43%、50歳~:9% 【女性】~19歳:22%、20~34歳:47%、35~49歳:29%、50歳~:2%)

ケータイ試写会の満足度(満足:74% 不満足:26%)に沿ったモチベーション比較。不満足でも2次行動を希望するユーザーの割合が多い
そうですね。2時間近い映画の試写会ですから一度に見るのではなく、配信期間中に2~3回に分けて視聴しているようですが、やはりもう一度映画館の大きなスクリーンで見たくなるのでしょう。
携帯端末で動画を見るという行為はどうしても高校生~大学生、10代半ば~20代前半が中心で、実際の会員属性もそのあたりです。ところが、ケータイ試写会の応募者の年齢層を見ると、配信される映画のターゲットに合った、従来の会員属性よりも10歳弱上、つまり30代から40代の方もいらっしゃった。正直なところ、30代以上のユーザーさんでも、我々のサービスを認識してくださっているんだなと、私自身驚きました。
―移動中の暇つぶし的な利用を予想していたのですが、意外に自宅で見るユーザーが多い(表B)のも驚きです。

1日の中で携帯電話に接触する時間は長くなっています。移動中というより、一人になって落ち着いた時間帯に、ゆっくり見る方というのは我々が想像するよりも多いようです。
見ている機種のデータも取っていまして、ドコモの906シリーズが会員の12~13%、905シリーズで40%近くを占めました。弊社ではアニメやファッション情報、音楽の配信も手がけていますが、ケータイ試写会はリピーターの方が他コンテンツに比べても増えています。試写会目当てだけではなく、そこから今上映中の映画のチェックに使っていただいたりしているようです。
―従来の映画館での試写鑑賞には、何かこうプレミア感がありました。携帯端末で映画鑑賞できるのは手軽ですが、何か付加価値的なものを連携させる予定はありますか。
具体的にはまだ動いていませんが……そうですね、ケータイ試写会だけの映画に関する特典映像が見られる、あるいはメーカーさんと組んでのキャンペーンなども行いたいです。まだ全く未定ですが、弊社サイトからチケットを予約できたりといった連動もできれば一番でしょうね。
PCよりも消費者にリーチできるメディア端末として有望視が日に日に増す携帯電話。端末の高速・高画質化に伴い携帯動画市場拡大への期待も高まっている。同社アンケートによれば、同サービスの利用者は若年層に留まらず、二次行動にもつながりやすいということで、携帯と試写会との相性は意外に良いようだ。となれば、低コストででき、集客具合がみえ効果測定しやすいといった特長も相まって、有効なプロモーションとして今後より注目されるのではないか。竹田氏は最後に「まだまだ携帯動画の認知度は低い。ケータイ試写会をプロモーションメディアとして確立していきたい」と語った。
(
文:麻生ちはや、写真:更科智子
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