「meet-me」ココア代表 森山雅勝氏インタビュー

現実との地図連動でメタバースに参入

2007年07月31日(火)

[ 47 号]

 トランスコスモス、フロム・ソフトウェア、産経新聞社の3社が合弁で設立した株式会社ココアによる新しいメタバース「meet-me」は、どのようなコンセプトのサービスなのだろうか。同社代表取締役の森山雅勝氏に話を伺った。

森山 雅勝(もりやま まさかつ)…株式会社ココア代表取締役。トランスコスモス株式会社専務取締役およびチームラボ株式会社取締役COOも兼任する。

森山 雅勝(もりやま まさかつ)…株式会社ココア代表取締役。トランスコスモス株式会社専務取締役およびチームラボ株式会社取締役COOも兼任する。


 「600万区画ですよ、600万」トランスコスモス専務取締役兼ココア代表取締役の森山雅勝氏は興奮気味にそう語る。何の数字かというと、2007年冬にオープンが予定されているメタバースサービス「meet-me」における、東京23区相当エリアの区画数のことである。meet-meの最大の特徴は、仮想世界に現実の地図データを用いている点にある。実在の道路やランドマークなどが再現され、リアルとの連動をかなり意識した作りになっているのだ。ところが、地図情報はともかく、区画データというものは実はほとんど存在しないか、あるいは非常に古いものしかないことが多い。そのため、ほぼ手作業に近い形で入力を行っているのだという。
座標軸がリアルとバーチャルを融合

「過去の平安京の再現など、時間軸を超えた要素も実現していきたいですね」とmeet-meの可能性を語る森山氏

「過去の平安京の再現など、時間軸を超えた要素も実現していきたいですね」とmeet-meの可能性を語る森山氏


 なぜそれほどの手間と労力をかけてまで、リアルとの連動を重視するのだろうか。その理由と狙いについて森山氏は「地図という座標軸こそが、リアルとバーチャルを融合させる大きな要素となるのです」と説明する。「セカンドライフでは何でもできるという反面、なにをすればいいのか分からないという状況も生まれています。一方、meet-meのように仮想世界が現実の地図とリンクしていれば、“行く”という行動自体に意味が生まれます。自分の住んでいる場所がmeet-meではどうなっているのか、あるいは一度訪れてみたかったランドマークに足を運びたいなど、行動の契機はいろいろあるでしょう。そして、行動さえすればmeet-meのいろいろなことが理解できるわけですから、導入の敷居を下げる意味でも非常に効果があるでしょう」
“半分の人格”がコミュニケーションを変革
 一方で、すべてが現実の再現ではおもしろくも何ともないという森山氏は、meet-meならではの可能性を追求したいと語る。「重要なのは、地図の座標軸を共有することでmeet-meと現実世界がリンクするという点。たとえば、meet-me上のある店舗に二人のユーザーがいるとします。一人は現実の店舗にもいてGPS連動で、そしてもう一人はまったくの遠隔地からアクセスするようなシーンも考えられます」

 また、現実と融合した仮想世界においてアバターによる会話を行うことが、コミュニケーションの新しいあり方を生むのではないかとも森山氏は期待を寄せる。「アバターそのものはあくまで作り物ですが、それでも半分程度は、それを作って操作するユーザーの人格を反映しています。この“半分程度”というのがポイント。100%の人格では話しかけにくいような状況でも、アバターならば気軽に行えますから。これにより会話の敷居が低くなり、新しいコミュニケーションのあり方が普及すれば、逆にそれが現実世界でのコミュニケーションに影響を与える可能性も期待できるのでは」
わかりやすさ、プラスαの想像力

「meet-me」イメージ画像【渋谷】。実在する主要な建物やランドマークを再現。さらに、季節や天候、地価などの要素も現実とシンクロした仮想世界が展開される。

「meet-me」イメージ画像【渋谷】。実在する主要な建物やランドマークを再現。さらに、季節や天候、地価などの要素も現実とシンクロした仮想世界が展開される。


 meet-me普及のために森山氏が重視しているのが「わかりやすさと、ほんの少しの想像力」である。meet-meでは、セカンドライフのように何から何までを自由に作り出すことはできない。オブジェクト制作は提供される大量のパーツの組み合わせにより、アバター制作も基本パーツのカスタマイズという方向で考えている。「ある程度のフォーマットがあった方が、当然わかりやすくなります。しかし、それが必ずしもユーザーの自由度を制限するわけではありません」と説明する森山氏は、例としてニンテンドーWiiのアバターサービスであるMiiを引き合いに出す。「Miiでは、ちょっとした想像力と創造力さえあれば、非常に高度なアバターを作れることが証明されました。大切なのは、わかりやすいインターフェイスを用意した上で、ある程度の想像力を発揮できるようにすること。meet-meでは、そのバランスを大切にしていくつもりです」
メディア”の一角になるために
 今までのインターネットは、画像や動画を扱えるとはいっても、結局のところは文字がベースのインターフェイスに過ぎない。これに対してメタバースは「インターネット上に生まれる新たなメディアプラットフォーム」であると森山氏は力説する。「メタバースならではの表現力や伝達力が広く認識されれば、既存のTVやラジオ、雑誌、インターネットなどといったさまざまなメディアの一角に入り込めるのではないでしょうか」

 もっとも、メタバースがメディアになるためにはクリアすべき点も多い。中でももっとも重要なのが「わかりやすさと使いやすさ」にあると森山氏は分析する。「テレビや雑誌に匹敵するユーザーインターフェイスが必要ですが、現在のメタバースではまだまだ難しい。それに、概念自体がわかりにくいという面もあります。しかし、こうしたわかりにくさは初期のインターネットも同様。また、メディアの特性を活かしたコンテンツが不足している点もインターネットの初期に近い。メタバースならではのコンテンツを増やすことで、こうした状況を打破していきたいですね」
( 文:森田亮 写真:岡部有美子 )

キーワード


記事についてのご意見・ご感想

東京IT新聞 特集ラインナップ

専用サーバ・専用レンタルサーバーは at+link におまかせ!

Apple Store(Japan)

東京IT新聞HOTキーワード
東京ITイベント情報

イベントカレンダーを見る カレンダーを見る