
近藤: ではお話を起業のほうに戻しまして、小林社長がモバイル事業に目をつけて事業を始めようと思った動機やプロセスなどを教えていただけますか?
小林社長: 一番最初に勤めていた会社で、ある雑誌の立ち上げに関わっていたんですが、そのテーマが「雇われないで生きていく」だったんですね。事業主になったり経営したりすることを提唱していた雑誌だったので、その編集を通じて、「どんなビジネスがこれから熱くなるんだろう」って、ずっと考えていたんです。そのときに思ったのが、当時会社から支給されていた、まだ性能の未熟な携帯をパソコンのかわりにすることはできないだろうか、ということだったんです。ポケットの中に入っている携帯電話の文字コンテンツや広告を見るだけで、その人の生活が何らかの形で変化する、インパクトを与えられる、そんな事業じゃないかなぁと漠然と考えていたんですね。今では、CDではなくて携帯で音楽を聞く、単行本ではなくて携帯で漫画を見る、そんな風に新しい歴史を作れる仕事なんじゃないのかなぁと思っています。そんな思いだったから、ビジネスチャンスがあるかどうか分からないけれど、変わりそうなところに行くのがいいんじゃないのかなぁってことで決断したんです。
近藤: ちなみに、会社を興されて現在何年目でしょうか?
小林社長: 今、5年目になります。すでに会社はありまして、そこに僕が社長として入り、内部の総入れ替えをしてから5年になりますね。
近藤: では、その5年間の中で、もう二度としたくないような、苦い経験や失敗はありましたか?
小林社長: ずばり、キャッシュフローですね。自分の中ではかなり煮詰めた計画でしたし、かなり現実性の高いものだったんですが、それを実行する現金が会社になかったんですね。もしこのままの状態で行くと8ヵ月後には会社が潰れるなという状況だったんですよ。売り上げを高める方法よりも入金を早める方法を探しましたね。
近藤: その山はどのように乗り越えていったんですか?
小林社長: ウェブ制作の仕事を請けたり、電気代やコピー代の無駄遣いを一切しなかったりしましたね。朝起きたら、今日入金してくれるネタを探す、っていう毎日でしたね。もっとひどいときは、社員が減ってくれないかなぁとか考えたりね(笑)。一番重要なのは人なんですけど、一番お金がかかるのもまた人ですから。そういう経験がありましたから、今でも僕は経理にはうるさいですし、キャッシュフローにもうるさいですよ。
近藤: では、今「人」というお話が出ましたが、人材を集めて育てていく中で小林社長がポイントにしていることなどがあれば、お話願えますか?
小林社長: 僕の根本の考えは「人は変えられない」ということなんですよ。影響は与えられますけど、人は変えられない、自分は変えられる、っていう考えを持っています。
だから育成するというよりも、その人が頑張ろうとか自分のダメなところを謙虚に見てもらえるように、僕の側が接し方を変えていけばいいと思うんですよ。育成の結果、成長があるかといえば、育成されたにしても、成長するには、本人による努力のほうが大きいですよ。だから僕の場合の育成は、環境を設定してあげることと機会を提供するぐらいしかないと思います。学校での受身の勉強よりも自分で体験したことの方が遥かに大きいでしょ。だから、社長という立場で上から指導したりはしないようにしています。(つづく)
どの社長も一度は悩むのがキャッシュフローと人材育成。小林社長は客観的視点から地に足をつけて双方の壁に臨んだからこそ、今の強靭な組織が形成されているわけです。企業草創期に緻密な計算と戦略策定の努力を怠らず、社長が強い意志を持っているところにアクセルマークの強さが潜んでいるのだと思いました。(近藤)
(
【インタビュアー】 MEDIA EXPRESS 近藤誠
)
キーワード
関連リンク
記事についてのご意見・ご感想
『 アクセルマーク株式会社 小林靖弘社長(vol.2) 』に対する
関連記事








ページの先頭へ
