#005 株式会社ECホールディングス(代表取締役社長 井関貴博氏)

【pick up a start-up(注目ベンチャー探訪)】

2008年02月05日(火)

[ 70 号]

 人が見えるEコマース――。そんな言葉を自社サイトに掲げる株式会社ECホールディングス代表取締役社長の井関貴博氏。経営の神様と呼ばれた松下幸之助をこよなく敬愛する同氏は、ビジネスにおいて「人」を最重要視する。ベンチャーキャピタル時代に広げた人脈を次のステップで活かしながら、ECを通じて人と企業の成長を追求し、社会貢献をしたいと強く願っている。そんな考えが生まれたきっかけは何だったのだろうか。話の端々に同氏の魅力が垣間見えてきた。

早稲田大学社会科学部卒業後、NIFSMBCベンチャーズにてベンチャーキャピタル事業に従事。(株)ハナマサ、(株)イードの取締役を歴任。小売流通からインターネット事業まで18社を担当する。その後、(株)ネットエイジグループ取締役グループCFOとして、連結経営の基盤を作る。2006年、中堅企業のネットワーク、インターネットビジネス、連結経営の経験に基く集大成として、(株)ECホールディングスを設立

早稲田大学社会科学部卒業後、NIFSMBCベンチャーズにてベンチャーキャピタル事業に従事。(株)ハナマサ、(株)イードの取締役を歴任。小売流通からインターネット事業まで18社を担当する。その後、(株)ネットエイジグループ取締役グループCFOとして、連結経営の基盤を作る。2006年、中堅企業のネットワーク、インターネットビジネス、連結経営の経験に基く集大成として、(株)ECホールディングスを設立


 ネット業界のベンチャー企業というと、〈弱肉強食〉や〈ビジネス至上主義〉などというイメージを持たれることさえある。そんな中、社内外の〈人〉を非常に大切にしている企業が井関氏率いるECホールディングスだ。同社は「EC」を軸として各種の企業支援事業を展開。一昨年(2006年)2月の会社設立以後、リスク共有・成功報酬型というユニークなビジネスモデルで業績を伸ばしている。

 井関氏が起業するに至ったのは、前職などで多くの人脈を築いてきたことが大きい。
 「大学卒業後に入社したベンチャーキャピタルでは、年間150社以上の経営者と会い、ビジネスモデルや経営者自身を判断して起業投資を行っていました。その期間は一社に対して2~3週間というのが普通なんですが、そんな短期間で〈人〉を判断するのは難しい。だから私は、2~3ヶ月の時間をかけて、会社の内情や経営者の人となりをじっくり見させていただきました」

 相手企業との親密度が深まっていくにつれて、時には経営者の不正を社員がこっそり教えてくれることもあった。お陰で失敗を未然に防げだり、最小限に留められたこともあったという。
 「その時、経営者以外との〈人脈〉も重要だと実感しましたね。同時に、たくさんの方と出会っていくなかで『将来起業する時は一緒に』という言葉を多方面からいただいた。それが起業の後押しになったのです」と振り返る。

 そうした経緯から、同社で手掛けるのは大半が中小企業向けの事業で、〈人〉の存在が大きい。業界初となるリスク共有・成功報酬型ECインキュベーションは、お互いにリスクを背負うため、信頼関係を築いていくことが非常に大事な要素となる。井関氏が多くの実務経験から得たノウハウを元に行うIPOコンサルティングも同様だ。単にビジネスとしてだけではなく、〈人〉対〈人〉と して、息の長いコミュニケーションや信頼関係が存在している。
 「中小企業は意思決定がスピーディーで担当者の異動も少なく、長くお付き合い出来ることが魅力ですね。当社とビジネスパートナーが一緒に成長していけることが、私達にとってのやりがいでもあります」と語る。

 一方で、やはり会社設立当初は事業が上手く回らず、苦労を重ねた。
 「立ち上げ当初は仕事がほとんど入って来ず、資金が底を尽きかけたこともありました。でも何とかなる、という自信があったんです。その根拠もなかったのですが(笑)」

 そうした状況の中、オーガニック野菜を使ったスイーツ専門店「パティスリー・ポタジエ」(東京・中目黒)のECサイト構築の仕事が、かつての職場仲間から舞い込む。
 「非常に良い商品があって店舗では売れるのに、ネット上ではほとんど売れていない。これはもったいないと思いました」

 そしてサイトは見事成功を収め、同社が成長軌道に乗るきっかけとなった。

「良い商品はあるのに、インターネット上での流通方法がわからないという企業は意外と多い」と話す

「良い商品はあるのに、インターネット上での流通方法がわからないという企業は意外と多い」と話す


 井関社長は、社内でも〈人〉を非常に大事にする。その源流は、かつて所属した企業でミクシィからの出向社員と出会ったことにある。
 「とにかく他人への気遣いがすごい。こういう人が社員に多数いて、気持ちの良い環境が作れる会社だからこそ、あれだけ業績が伸びているのだと思いました」

 そして井関氏自身も「ミクシィ以上に良い会社を作りたい」という目標を持つようになった。

 現在、月一回の面談やパーティーを実施するなど、社員と積極的にコミュニケーションを図る。設立以来、退職したのはわずか一人だけだ。今後の目標は社員一人ひとりの夢を叶える手伝いをすることだという。
 「海外で働きたいと言う人がいれば、海外への事業展開を考えます。そして将来的には、私の起業の目的でもあるビル・ゲイツ氏のような社会貢献ができる会社を目指しています」

 利益を優先するよりも、〈人〉や〈社会〉を一番に考える井関社長の魅力と人柄が、同社のビジネスを成功に導いているのだろう。

ウェブサイトも主役は社員となっている
(http://www.echoldings.co.jpより/)



●ECインキュベーション
成功報酬型のコンサルティングサービスを提供。初期費用完全負担タイプと、初期費用折半負担タイプがある。

●WEBプロデュース
WEBサイトのリニューアルだけではなく、WEBの強みを活かした経営戦略やコーポレートブランドの再設計を支援。

●IPOコンサルティング
株式公開へのコンサル契約、事業計画作成支援、資金調達支援など実務面を中心に、ベンチャーキャピタル出身者、IPO経験者、監査法人経験者がサポート。
( 文:石田絢子、写真:岡部ユミ子 )

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