日本でホスティングビジネスが始まってから10年以上が経過。昨年時点での総契約数は100万件を突破した。多様化する顧客ニーズに合わせ、ホスティング事業者の商品・サービスは年々増え続け、その内容も多種多様だ。ホスティングビジネスの専門家で、今年3月には業界研究会を立ち上げる新谷隆・国際大学グローバルコミュニケーションセンター(GLOCOM)主幹研究員に、ホスティングサービス選びのポイントや業界の現状などを聞く。

新谷隆(しんたに たかし)、慶應義塾大経済学部卒、国際大大学院国際関係学科修了。専門は情報社会学、ネットワークコミュニケーション、インターネットビジネス。「ホスティングプロ2008」の実行副委員長も務める
――ホスティングビジネスが非常に好調です
この4~5年で3割程度成長しており、昨年時点で利用件数が100万を超えました。ホスティング事業自体が黒字の企業も多く、小規模業者でも利益を挙げやすい構造です。しかし欧米や他のアジア諸国と比べると、伸び率に開きがありますので、好調ではなく私は「堅調」であると考えています。
――利用が100万件を超えた要因は何ですか
中小企業や個人ベースでの利用が増えているためです。特に個人では独自ドメインの運用と、ブログや写真データなどの置き場として使うケースが多いですね。一方で過剰な低価格化の傾向が見られ、ホスティング事業者の収益鈍化が懸念材料ではあります。
――自社でサーバを独自運用している企業の割合はどのくらいですか
自社内運用とホスティング利用はちょうど半分の割合ですね。
――自社サーバの特長は何でしょうか
自社運用ではフルカスタマイズできるというメリットはありますが、実際にそれが必要なのは巨大企業だけではないでしょうか。どうしてもフルカスタマイズをしたい場合でも、管理者の人件費などを考えると、専用または仮想ホスティングを使うほうが安上がりだと思います。

最近は、スパムメール対策やドメインネーム、サーバーホスティングをテーマにした実証的な調査研究活動を行う新谷氏
――ホスティングサービスを利用するメリットを教えてください
何と言ってもセキュリティとコスト面ですね。サーバ管理にかかる人件費が抑えられ、なおかつセキュリティ対策も事業者に任せることができます。中にはサーバのOSが何を使っているかさえ知らない企業担当者もいますが、問題なくサーバ管理ができています。それだけホスティング事業者のサービスやサポート面が向上しているということでしょう。
――利用者のニーズはどういう点にあり、今後、事業者はどう応えていくべきでしょうか
ユーザ調査では、価格よりもセキュリティ面を重視する傾向が非常に強いですね。今後、SaaS的なサービスは求められるでしょうし、病院や工場、弁護士事務所といった業種別パッケージがあると便利かもしれません。ホスティング事業者はASP的な方向性を目指すべきだと考えています。
サービス面では、実際に利用している人々からほとんど不満の声は挙がってはいないのですが、サーバを移転する際の引っ越しサービスみたいなものがあれば便利です。
――これだけメリットが多いなか、独自サーバ運用の割合が半数を占める理由は何でしょうか
現時点で順調に稼働しているため、移行するタイミングがつかめないのでしょうね。
――ホスティング事業者やサービス・商品を選ぶ際のポイントを教えてください
企業の場合は、価格よりもサービス内容をしっかり見ることです。安ければ良い、という考え方は止めた方がいいですね。コンサルティングまでしっかりとやってくれる事業者を選ぶべきです。もし、自社にサーバ管理のノウハウが不足していれば、マネージドサービスの利用がおすすめです。
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本紙:井上佳国、西村健太郎、写真:更科智子
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2008年05月27日(火)
[ 84 号]







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