#006 ジーコンシャス株式会社(代表取締役 井手敏和氏)

【pick up a start-up(注目ベンチャー探訪)】

2008年02月13日(水)

[ 71 号]

 「カーボンニュートラル」「カーボンオフセット」という言葉が今、注目されている。地球温暖化ガスであるCO2の削減にまつわるキーワードだ。
 COP(気候変動枠組条約締約国会議)の取り決めにより、現在加盟各国では排出削減の取り組みが進む。他国で設定目標以上に削減できたCO2を、別の国の排出削減に組み入れる仕組みを排出権取引といい、これによって排出削減が達成された状態をカーボンニュートラルと呼ぶ。この排出権をいわば共同購入する仕組みを作り、個人や中小企業レベルでもグリーン化を進めようじゃないかと提唱するのが、今回紹介するジーコンシャス株式会社・代表取締役の井手敏和氏だ。

ジーコンシャス株式会社・代表取締役 井手敏和氏

ジーコンシャス株式会社・代表取締役 井手敏和氏

プロミュージシャンとしての活動を通じてコンピュータに出会う。シリコンバレーでソフトウェアエンジニア、起業家として活躍。帰国後はロハス・エバンジェリストとして著書『いきいきロハスライフ!のすごし方 -Simply Natural Living Guide-』(ゴマブックス)を出版するなど、ロハスビジネスの普及に尽くす。ロハス・ビジネス・アライアンス(LBA)共同代表<http://lohas-ba.org> 1958年1月1日生まれ。

音楽からソフト開発へ

 「20代の頃はミュージシャンでした」と語る井手さん。1987年に渡米してシリコンバレーで14年間、エンジニアとして音楽ソフトなどの開発に関わった。ローランドから発売されている音楽制作ソフト「ミュージ郎」は井手氏の手によるものだ。

 世界的ミュージシャンの喜多郎に代表されるヒーリングミュージックのプロデュースのために2000年に帰国。03年に喜多郎の北京公演を「カーボンニュートラル化」する。これが井手氏とカーボンニュートラルとの出会いだった。

 「フジロックも実は同じ年からカーボンニュートラル化してるんですよ。ただ当時は日本で広めようと思って話をしても面白がってくれる人が多くなくて(笑)」

 「でも最近では二酸化炭素と地球温暖化の記事が新聞に毎日載るようになって、カーボンオフセットもちょこちょこ知られるようになった。そんな折、私が共同代表を務める『ロハス・ビジネス・アライアンス』でロハスをビジネスにする手立てはないか、という話になって、改めてカーボンオフセットに注目しました。事業化するなら今かなと」

IT業界で加速するカーボンオフセット

 半年間、排出権取引について勉強したりキーマンに話を聞いたりしながら準備を進め、昨年11月にジーコンシャスを設立する。

 そして翌月のエコプロダクツ2007で、満を持して国内初の個人向けカーボンオフセットサービス「CarbonPASS」(カーボンパス)を発表する。

 「アメリカやイギリスでは何十万人も同様のサービスを利用していま す。当社のサイトにアクセスして家庭での電気やガスの使用量やマイカーの車種と走行距離、飛行機でどこまで飛んだかなどを入力すると自分のCO2排出量がわかります。それを相殺する排出権をクレジットカードで決済すると、当社が証書やグッズをお送りする」という仕組みだ。
 「この一連の流れはまさしくEコマースですね。ネット上でお客様にカーボンパスを買っていただくビジネスです」

 日本人が年間排出するCO2は現在10.6トン。世界平均の4トンの倍以上だが、驚くべきことにアメリカは日本のさらに倍、20トンも排出している。
 「シャワーの時間を1分短くしたり、省エネ冷蔵庫に買い換えたりすることでCO2を削減できますが、ゼロには出来ない。残った部分をカーボンパスでオフセット、つまり相殺して可能な限りゼロ、すなわちカーボンニュートラルな状態に持っていくことが可能になります」

 ジーコンシャスが提供する排出権は1トン当たり5000円。5万円で10トン分購入すれば、1人分の排出量をオフセットできる計算だ。
 「今年は洞爺湖でG8サミットが開催されて関心はさらに高まりますし、ロハス層を中心に排出権にお金を支払う人は今後増えるでしょう」と井手氏は言う。

 BtoBで企業活動全体をカーボンオフセットしたり、イベントやキャンペーンなどをオフセットしたり、提案を始めている。
 「特にITのグリーン化は進展していますね。Yahoo!やGoogleはカーボンニュートラルを宣言していますし、サーバは世界的に電力を消費しますからデータセンターのグリーン化など、ビジネスチャンスは多いはずです」と言い、同社でも現在『カーボンパス ビジネス・スタートパック』を年間15万円で提供する準備を進めている。

 「大事なのは『ロハスってクールでカッコイイ!』ってこと。米アップル社で働く僕の友人もプリウスに乗ったりオーガニックフードを食べたりしてる。企業がグリーン化に取り組むことは、優秀な従業員を獲得する上でも重要ですよ(笑)。特にIT企業はどんどん新しい発想で取り組むからフットワークが軽いです」と話し、「もちろんIT以外でも、ロハスやカーボンオフセットは商品に付加価値として上乗せして販売できます。1割程度高くても意識の高い人は買います。今は価格ではなく企業のポリシーや姿勢で買う時代です」と続けた。

 クールなロハスの潮流は温暖化の進む地球と企業を冷やせるか。カーボンオフセットにかける井手氏の思いはしかし、あくまでホットなのであった。

CarbonPASS(CO2オフセットサイト)
http://carbonpass.jp/



●CarbonPASSのウェブサイトでは個人のCO2排出量診断がホーム(家庭)・ドライブ(車)・フライト(飛行機)・ギフトの4項目で可能。排出権を購入しなくても、カーボンパス会員に登録できる。

●BtoB向け商品「カーボンパスビジネスオフィスパック」
ジーコンシャスでは企業向けにスタートパッケージを用意。これからは企業活動を丸ごとカーボンオフセットできる時代へ。

【問い合わせ】電話:03-5459-4078 FAX:03-5459-4079 E-mail:gc-info@gconscisou.jp  担当:北村
( 文:斉藤円華、写真:岡部ユミ子 )


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