ダウンロード違法化への布石? 「エルマーク」運用開始

2008年02月26日(火)

[ 73 号]

 2月19日、日本レコード協会は、エルマークと呼ぶ、レコード会社が許諾した音楽配信サイトに表示するロゴマークを公開、運用を開始した。

RIAJのエルマーク解説サイト(http://www.riaj.or.jp/shikibetsu/)。発行はメール問い合わせへの返答から専用サイトに飛んで行われる

RIAJのエルマーク解説サイト(http://www.riaj.or.jp/shikibetsu/)。発行はメール問い合わせへの返答から専用サイトに飛んで行われる


 これは私的録音録画補償金小委員会などでも話し合われていた、適法サイトマークの実質運用開始と見ていいだろう。マークはノートパソコンや携帯電話を「開いた」ところがちょうどLの字になっており、間にある丸がコンテンツを示すという。Lは「Licence」、許諾を意味するもの。エルマーク発行を受けたサイトはトップページなどにマークと管理番号を貼り付けることで、正規サイトであることを示すことができる。現状、発行機関は日本レコード協会(RIAJ)が行う。すでに発行先リストが公開されており、534のサイトがマークの発行を受けている。しかしPCの音楽配信の最大手であるアップルのiTunesは現在まで、このエルマークを貼り付けていない。iTunesはもちろん適法サイトであるが、専用ブラウザを持っていること、サイトのデザインまでアメリカで行っていることを考えても、この先貼り付けられるとは考えにくい。

 昨年半ばから私的録音録画補償金小委員会で話し合われていた、「違法サイトからのダウンロードを著作権法違反とする」という提案は、今年1月の委員会において、議論不十分ということで「来期に持ち越し」が決まっている。これには「違法サイトと知って(情を知って)ダウンロードした場合に、ダウンロードした方も著作権法違反に」 という前提がある。エルマークはこの違法サイトと適法サイトの区分けを行うために登場したと考えられ、この運用を成功させることで、ダウンロード違法化を適用したいと考えているだろう。

 しかしiTunesのように、適法サイトであってもエルマークを貼らないサイトもあるはずだ。マークがないサイトはすべて違法なのだろうか。これに関してサイトでは、「マークがないサイトは全て違法配信サイトですか?」と、「よくある質問」に記し、「インディーズは対応していない」「これから対応するサイトもある」というような答えを返している。つまり「マークが付いてないサイトでも適法サイトがある」ということだ。これは逆もまた真。つまり以前から指摘されているように、エルマークを他のサイトから持ってきて、適当な管理番号を付けたものを表示しているような「違法サイトがある」ということでもある。このような場合、RIAJが使用差し止めを請求するとしているが、多くの違法サイトはアンダーグラウンドに隠れており、しかも所在を頻繁に変える。差し止めを求めてもいたちごっこになるだろうことは想像に難くない。

 また将来的に、このエルマークを発行する「別機関」へと成長する恐れはないだろうか。現在は日本レコード協会がエルマークの発行を管理している。申請があったサイトに関しては、レコード会社に契約を確認し、問題がなければ無償で管理番号が発行される仕組みだ。しかしエルマークのないサイトが違法サイトになるのであればこれが必須となる。膨大な音楽配信サイトの「管理」のための管理費が必要になり、管理に別の団体が必要だという議論になる可能性はないとは言い切れない。それは新たな天下り先や利権団体を生むことになるかもしれない。

 エルマークはあくまでも「消費者」が、正しいサイトを見るためにある。運用においてはその一点に注意すべきだろう。
( 矢橋司 )

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