コンパクトディスク製造開始から25周年

2007年09月04日(火)

[ 51 号]

 12cmの円盤が、世界中で音楽を奏で始めて四半世紀――。1982年の8月17日、オランダの総合電機メーカーであるフィリップスの工場で、コンパクトディスク(CD)の生産がスタートしてから25年が経過した。光工学に強みのあったフィリップスと、デジタル信号技術に長けたソニーのタッグによって開発に成功したこの小型ディスクは、音質・楽曲の検索性・収納性・生産性・耐久性に至るあらゆる面において、それまでの主流であったアナログレコードを上回る画期的なものであった。導入当初こそ、既に市場を支配していたレコード業界や消費者からの反発を受けたものの、安価な再生機やポータブルプレーヤーの登場によって、80年代後半には音楽業界の中心で「回り」はじめることとなったのである。そして現在、CDのこれまでの累計売り上げ枚数は2000億枚に達した。

CDの普及と共に、ケースにも様々な種類のものが登場(左後ろから通常のプラケース、紙ジャケット、ボックスケース、特殊ジャケット。中央左は中折れ式8cm盤、その隣は8cm盤)。アーティストのコンセプトを伝える重要なアートワークとしても機能した。 (※記者所有物を撮影)

CDの普及と共に、ケースにも様々な種類のものが登場(左後ろから通常のプラケース、紙ジャケット、ボックスケース、特殊ジャケット。中央左は中折れ式8cm盤、その隣は8cm盤)。アーティストのコンセプトを伝える重要なアートワークとしても機能した。 (※記者所有物を撮影)


 ここ日本では、90年代の後半まで75分間(正確には74分42秒)収録できる12cm盤と8cmシングル盤が共存しており、これが音楽業界の成長を大きく後押しした。95年・96年には、ミリオンセラー(100万枚)を超えるシングルが23作、アルバムもベスト盤ブームに沸いた99年に30枚を記録するなど、「バブル」と言うべき未曾有の活況を生み出している。だが、CDを焼ける(複製できる)CD-Rドライブ搭載型のパソコンが急速に普及した2000年以降、音楽をパソコンで「データ」として運用し、楽しむ傾向が顕著となる。パッケージング商品であるCDの売り上げも徐々に低下し、さらに違法コピー防止のために採り入れた「コピーコントロールCD」が、“再生機の故障を保障しない”というトンデモ規格であったことも、消費者、さらに音楽家にまで業界に不信を抱かせ、CD離れを生む要因となった。

 2006年には、携帯へのダウンロードやiTunesなどによる有料配信サービスの売り上げが、ついにシングルCD(現在は8cm盤は絶滅状態で、12cm盤を使ったマキシシングルが大半)の売り上げを上回り(※日本レコード協会調べ)、音楽のデータ販売化の流れは止まりそうにもない。だが、現在でもDJを中心にアナログ盤愛好家が存在するように、音質に優れ、ジャケットやブックレットを含んだパッケージ全体がひとつの「作品」であるCDに愛着を持つ人々は多数いる。一時代を築いたその銀色の円盤は、まだまだ音楽を輝かせる力を持っていると言えるのだ。
( 森樹 )


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