ITコーディネータ協会 下田邦典専務理事に聞く

【スキルアップ特集・注目資格ガイド】

2008年02月26日(火)

[ 73 号]

 ITコーディネータ(ITC)制度は、日本のIT戦略推進を担う人材育成を目的に、2001年に国家プロジェクトとして誕生。企業経営とITと結ぶスペシャリストとして、経営戦略の策定からITの導入、ITサービス活用までユーザーの視点から支援する日本初の資格だ。ITC制度の運営主体である特定非営利活動法人ITコーディネータ協会の下田邦典専務理事に、制度誕生の経緯や役割などを聞いた。

大手SIベンダーとユーザ企業の双方で長年の勤務経験を持つ下田氏

大手SIベンダーとユーザ企業の双方で長年の勤務経験を持つ下田氏


―ITコーディネータ(ITC)はIT経営推進の担い手として大きな期待を集めています。資格制度が生まれた経緯を教えてください

 1999年頃、日本では企業経営に寄与する戦略的なIT化が米国に比べて遅れているという現状がありました。それを打開するために、当時の通産省の産業構造審議会で提言されたのがきっかけです。つまり、国家プロジェクトの一環で誕生した資格認定制度です。

―ITCが担う役割は何でしょうか

 ITCは、経営者の立場に立って、企業の経営戦略策定やIT化の企画段階から関わります。その後、導入や活用に至るまで経営者をサポートしていきます。具体的には、経営戦略策定→IT化戦略企画→IT化資源調達→IT導入→ITサービス活用という5つのフェーズにおいて一貫した支援を行う形です。
 ITを経営改革の手段として位置づけ、それを実現させるための外部専門家という立場ですね。そのため、ITCには、分析能力、対人スキル、組織における現場感覚や経営の体系的知識、コンサルティングの実践知といった幅広いスキルが求められます。

―資格の特徴について

 15日間のケース研修と、資格取得後も継続学習や実務経験が求められている点が大きな特徴ではないでしょうか。
 研修は年に3回、全国各地で開かれます。標準形としては、36名のクラスを6名のグループに分け、異なった経歴のメンバーが白熱した議論を重ねながら演習し、経営戦略の策定からIT導入後のモニタリングまでの疑似体験ができます。研修を通じて得られる人的ネットワークも大きな財産になるはずです。
 また、資格取得後も継続学習を義務づけ、常にITと経営の最新情報を習得し、スキルアップを図るのが大きな特徴です。

―なぜ今、ITC資格が求められているのでしょうか

 インターネットの普及、デジタル化の促進によりITの利活用は企業は勿論のこと、社会のあらゆる分野まで浸透しつつあります。従って経済活動基盤も大きく変化し、「IT革新なくして経営革新なし」とまでいわれる状況です。
 国としてもIT利活用による生産性向上、競争力向上に力を入れており、今年度から「IT経営力大賞」を創設し、IT経営実践企業の表彰、および認定をすることになりました。
 その「第一回表彰式典」が2月21日に開催され、経済産業大臣賞の3社をはじめ、優秀企業が表彰されました。IT経営実践企業として認定された企業の3割強をITC支援企業が占めており、ITCが大きな役割を果たしています。
 また、IT人材を巡る構造変化により高度IT人材に期待されるスキルも、言語スキル、IT製品スキルより、SE本来のスキルである(1)課題設定能力、(2)課題に対する実践的解決策提案能力、(3)コミュニケーション能力がより重視される環境になってきております。
 ITCは、まさにこの3つの能力を特徴とするものであり、社会の要請に応えることが可能なわけです。

―わが国が、今後目指すべき高度IT人材の類型が産業構造審議会情報経済分科会より示されていますが、ITCはどの類型分野に入りますか

 日本の将来、今後10年間を見越した人材像として、経営における付加価値を創造する「基本戦略系」、信頼性や生産性向上を創造する「ソリューション系」、技術イノベーションを創造する「クリエーション系」―という3つの類型が示されています。ITCは「基本戦略系人材」の分野を包含したスキルを持っています。

―環境の激変を企業はどう乗り越えればよいのでしょうか

 ITを戦略的に活用できるか否かが、企業の生産性向上、競争力向上を左右する時代と言っても過言ではありません。しかしながら、ITはあくまでツールであり、IT化は手段です。企業としては、ITの活用能力を磨くことが、非常に高い競争力になると思います。経営戦略からIT戦略策定、IT導入、ITサービス活用・評価に到るまで一貫した体系的知識、理論的な思考力が身につくのがITコーディネータ資格です。これは企業力の源泉になると確信しております。

ITコーディネータ協会の公式サイト(www.itc.or.jp)には企業のITC活用事例や受験の詳細が掲載されている

ITコーディネータ協会の公式サイト(www.itc.or.jp)には企業のITC活用事例や受験の詳細が掲載されている


第14回 ITコーディネータ試験

実施日:平成20年5月25日(日)
出願受付期間:平成20年3月3日(月)~4月10日(木)
試験会場:札幌・仙台・東京・名古屋・金沢・大阪・広島・福岡(8会場)
合否通知:平成20年7月上旬(予定)
受験料:21,000円(税込)
詳細は、ITコーディネータ協会ホームページにてご確認ください。
問い合わせ:03-5733-8380
(東京都港区芝公園1-8-21芝公園リッジビル7階)
( 本紙:佐藤健一、西村健太郎、写真:更科智子 )

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