東証「特設注意市場銘柄」 IHIが第1号指定に

2008年03月18日(火)

[ 76 号]

 いよいよ4月から、日本版SOX法(以下JSOX)が施行される。4月1日以後に開始する事業年度から、「内部統制報告書」の提出・監査の義務付けが始まり、「内部統制報告書」の虚偽報告や不提出した場合、金融商品取引法により刑事責任が問われるのは、周知の事実であろう。

 内部統制に問題が生じた場合には、JSOXに基づく規制のほかにも、リスクを負う可能性がある。2月9日付で、東京証券取引所(以下東証)が、株式会社IHIの内部管理体制に不備があるとして、IHIを「特設注意市場銘柄」に指定したことは、そのひとつの事例を示したと言えるだろう。本件では「必須情報を把握するプロセスが機能していなかった」「本部部門による事業部情報のモニタリング体制が万全でなかった」といったことが理由として挙げられた。

内部統制に関して一定の基準を示した東京証券取引所

内部統制に関して一定の基準を示した東京証券取引所


 「特設注意市場銘柄」は、昨年11月に新設されており、IHIは第1号指定となる。上場会社に対して要求する規範が多様化しつつある現況で、市場の公正性と健全性の観点から、上場諸規則の実効性を確保する手段の一つとして設けられた。

 「特設注意市場銘柄」に指定されるまでには、「上場会社が、有価証券報告書等に虚偽記載を行い、かつ、その影響が重大かどうかなど、上場廃止となるかどうかの審査を行っている期間は、『監理銘柄(審査中)』に指定されます。そのうち、審査の結果、影響が重大とは言えないと認められ上場廃止に至らなかったもので、当該上場会社の内部管理体制などについて改善の必要性が高いと東証が認めた場合に指定されます」(東証)という流れを経ることになる。その基準はJSOXと特に紐づいておらず、東証の判断であるという。なお、「上場廃止となるかどうか」は、
(1)有価証券報告書等に虚偽記載を行った場合
(2)財務諸表等に添付される監査報告書等において、公認会計士等により「不適正意見」又は「意見を表明しない」旨が記載された場合
(3)上場契約違反を行った場合
(4)その他公益又は投資者保護の観点から上場廃止のおそれがある場合
のいずれかに該当するかどうかが問われる。

 つまり、内部統制に不備があると認定されると、その上場会社が発行している上場株券などが「特設注意市場銘柄」に指定されてしまうのである。

 解除の要件としては、東証に「内部管理体制報告書」を提出し、内部管理体制などの問題が解消されたということを認められなければならない。つまり内部統制に関する「東証のお墨付き」が必要となるのである。

 なお、東証に「内部管理体制確認書」の提出を3回行った場合で、かつ、東証の審査で当該内部管理体制などに引き続き問題があるとされた時は、上場廃止の憂き目にあう。今、上場している企業は、JSOXばかりではなく、東証など、各証券取引所に認められる「内部統制」構築の必要に迫られている。
( 西原崇文 )

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