「一人歩きしたJ-SOX対策」

効率的な内部統制プロジェクトの進め方とは

2008年03月25日(火)

[ 77 号]

 今月12日、東京・神保町の日本教育会館一橋ホールで「効率的な内部統制プロジェクトの進め方」と題したセミナーがリスクモンスター株式会社により開催された。

 講師を務めたBDO三優税理士法人パートナーの小林健一氏は、「時間の余裕があり、内部統制の諸目的を達成することで企業価値の向上を図りたい場合は『順進的(ミクロ的)アプローチ』を、時間的制約がある場合は『逆進的(マクロ的)アプローチ』で内部統制プロジェクトを進めます。前者、後者に優劣はなく、両アプローチのコンビネーションが望ましい進め方」と説く。

小林健一氏。アクセンチュア入社後、PWC、リーマンブラザース、KPMGビジネスアシュアランスを経て現職。公認会計士

小林健一氏。アクセンチュア入社後、PWC、リーマンブラザース、KPMGビジネスアシュアランスを経て現職。公認会計士


 順進的アプローチとは、J-SOX法が求める全社的内部統制の成熟度42項目全てのリスク評価、改善点の詳述、業務プロセスのフローチャート、職務記述書、RCMの詳細作成、ITの整備、財務プロセスの整備などといった全てのステップを論理的に実施するもの。

 一方、逆進的アプローチは、全期末までの決算・監査結果を踏まえ、当期末において重要な虚偽記載となりうる項目を外部監査人と協議し、関連する財務報告統制から逆進して文書化するものだ。

 小林氏は外部専門家の有効利用やJ-SOX法対策のアプリケーションソフトにも触れ、あくまでも私見であることを強調した上で「外部専門家はプロジェクトのアドバイザーとして活用すべきで、実作業の代行は現場の実態反映やノウハウ移転の不足を招くため、避けた方が良いのではないか」と話した。

 また、大手企業の内部統制対策を手がけてきた経験から、「各社の1500万円クラスの専用ソフトを見てきたが、フローチャートの作成や職務記述書は、エクセルなどの表計算ソフトで十分対応できる。市販の内部統制対応ソフトは価格にばらつきがあるが、機能面で大きな差異は認められない。一般的に履歴管理機能が付いているものが高いようだ」とした上で、逆進的アプローチを取る場合、RCMに特化した支援ツール『優統制クラブ』を推奨した。

 セミナーの前日、金融庁から発表された、「内部統制報告制度に関する11の誤解」と題するレポート(http://www.fsa.go.jp/news/19/syouken/20080311-1/01.pdf)にも触れ、米国のSOX法とJ-SOX法とは求めるデータが異なり、フローチャートや業務記述書などの作成は、必ずしも求めていないことなど様々な誤解があることを指摘している。

 従来の内部統制への取り組み方が全て間違いというわけでないが、多大なコストや時間が掛かることで企業への負担が増加することは否めない。J-SOX法の本質を見極め、まず逆進的アプローチでJ-SOX対応に必要なコントロールを選定し、必要な業務フロー図、職務記述書を作成。順次業務改善に繋がる作業に広げてゆくアプローチを推奨している。
( 櫻井弘次 )

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