黄金美を追求 ~イスラエルの研究者

コンピュータが美人を判断

2008年04月15日(火)

[ 80 号]

 イスラエルの科学修士、アミット・カギアン氏は、コンピュータに美を解釈する方法を教えることに成功した。

 カギアン氏は、イスラエルのテルアビブ大学に所属。担当教授のエイタン・ルッピン氏とキデオン・ドロー教授と共に執筆したこの研究に関する論文は、科学雑誌ヴィジョン・リサーチに掲載された。ヴィジョン・リサーチ誌は、ヴィジョン・サイエンス・ソサエティー(視覚科学を研究する非営利団体)による米国の定期刊行物。

 「美は見る者の目に宿るという古いことわざがあるが、『見る者』は必ずしも『人間』でなくてもよいのではないのでしょうか?」とカギアン氏は語る。

 「今まで、コンピュータには、男女の見分け方や表情分析などの基本的な顔の特徴を教えてきました。しかし、我々の研究では、ソフトウェアでコンピュータが美的判断を行います。人間は、感情と抽象的な思考をリンクして美の判断を下しますが、通常我々はどのように判断の結論づけをしたのか、客観的に理解はしていません」

American Friends of Tel Aviv University (http://www.aftau.org/) の発表にはカギアン氏も写る

American Friends of Tel Aviv University (http://www.aftau.org/) の発表にはカギアン氏も写る


 研究では、30人の男女が、同じ年代のコーカサス系の100人の女性を見て、1から7まで「魅力度」を評定した。なぜそのスコアを付けたのかは言及しなかった。カギアン氏とその同僚が、100人の女性の顔の特徴を数学的に処理。左右対称や、皮膚の滑らかさ、髪の毛の色も分析対象にし、これらの特徴をコンピュータに学習させた。また、被験者が選定した「魅力度」も同様に学習させたという。次にまったく新しい女性の顔画像で「魅力度」を評定した。驚くべきことに、コンピュータと人間が出した結論は、極めて近かったとのことだ。

 コンピュータによる美の判断が可能になることは、人工知能の実現の可能性に近づくことを意味するという。また、身近なところでは、整形手術や顔認識の技術の進化に役立つと期待されている。

 2000年以上前に、哲学者であり数学者だったギリシャのピタゴラスは、数学と幾何学美の関係を研究していた。彼は、モノには「黄金分割(もっとも美感を与えるとされる比率)」があると推論した。カギアン氏はその考え方を受け継ぎ、人間の美にも黄金比があると考えた。

 カギアン氏の次の研究は、男性の美を定義し、今回の研究と同じくコンピュータに魅力度を教え込むことだという。女性の美の定義に対して、男性の美の定義は、より少ないとされているので、困難を極めることになりそうだ。

 また、カギアン氏はテスト画像に自分自身の写真は入れないと断言している。「多分、マシンを台無しにしてしまうだろうから」というのがカギアン氏の弁である。
( 角田早苗 )


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