マイクロソフト、ヤフー買収を断念

2008年05月13日(火)

[ 82 号]

 米国時間の5月3日、米マイクロソフト(以下MS)は2月から続けてきたヤフーとの買収交渉を終了したことを発表した。MSは最終的に一株あたりの価格を2ドル引き上げた33ドルを提案したが、ヤフーの希望する価格は37ドルと開きがあり、交渉は物別れに終わった。

 MSがヤフーに最後通牒を突きつけたのは4月初旬。3週間の期限を切り、交渉のテーブルに着くことを求めた。それから3週間の間にヤフーはグーグルの広告試験を行い、十分な手応えを得た。さらに市場の予想以上に前四半期の業績が良かったこと、対してMSの業績がいまひとつだったことなどもヤフーを強気にさせた一因かもしれない。しかし結果的には、MSは交渉のテーブルを下りてしまった。当初臭わせていた、敵対的買収も行わないという。業界最大の買収合併劇はひとまず幕を下ろすこととなった。

 しかし問題はここからだ。ヤフーの株価の動きを追ってみると、MSからの買収提案が行われた2月には1株19ドルで取引されていたものが、提案と同時に23ドル程度まで上がり、交渉決裂の直前には28ドル程度まで上がっていた。今回の発表を受けて、5月6日の時点でヤフーの株価はすでに5ドル程度下げている。2月の19ドルが低すぎたとはいえ、MSが提案した33ドル以上に株価を戻せる何かがなければ、経営陣は株主から責任を追及されることになるだろう。しかもヤフーにとっての好材料になりうるグーグルとの提携は、広告の効率化や人件費の削減によって一時的にキャッシュフローを増やすことにはなっても、技術者の流出や競争力の低下を起こすことにもなる。さらには独禁法に抵触するおそれもあること、グーグルとしてはMSとの合併がなくなったことでヤフーによりシビアな条件を出せることなどを考えても、この点が決して好材料には成り得ない。このままずるずると株価が下がっていく可能性もある。

発表後に大きく株価を下げたYahooだが、その後は徐々に持ち直しつつある(5月7日現在。http://finance.yahoo.comより)

発表後に大きく株価を下げたYahooだが、その後は徐々に持ち直しつつある(5月7日現在。http://finance.yahoo.comより)


 ヤフーがMSと合併できなかった理由がその企業風土にあるというのであれば、この決裂はどうしようもないことだと言えるだろう。しかし結局、ヤフーは一ドルでも高くMSに売りたがり、それに失敗したということでしかない。

 そして業界的に見れば、グーグルに対抗しうる最も大きな組織が誕生しなかったということになる。今回の買収断念を一番喜んでいるのは、実はグーグルということになるのかもしれない。
( 矢橋司 )


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