食に対する情報がテレビにネットにあふれかえる中、生半可な新商品では振り向いてさえくれず、記載漏れや消費期限のちょっとした表示ミスに対しても会社が傾くくらいの厳しいクレームを出す「消費者」は、食生活全般に対して高い意識を有しているはずだ、と食品メーカーならずともつい考えてしまうだろう。
一方で、食材にかけるコストは安ければ安いほど、調理にかける時間は短ければ短いほど、「かしこい主婦」として賞賛されるような風潮が根強くあることも一面の事実だが、このような行為は、あまり「食生活に意識の高い」主婦のやることではないようだ。また、そもそも「誰かが一家の食事の準備をする」ことが必要な複数人世帯は減少の一途であり、これに替わってあらゆる世代の単身世帯が一貫して増えてきている。更には、一家揃ってそれぞれが好き勝手なものを脈絡なく食べる夕食を「個性尊重」の美名の下に肯定し、「塾通いや趣味に忙しいから」簡便な調理すら厭うような、食生活に対するプライオリティが著しく低い世帯が、1960年代生まれ以降の世代で例外とはいえない規模で出現し始めていることも、報告されている(「変わる家族、変わる食卓」岩村暢子)。
考えてみて欲しい。このような「消費者」こそが、実はあなたの奥さんであり、お母さんであり、娘さんであり、或いはあなた自身のリアルな姿ではないだろうか。食生活に対する消費者の意識は、従来どおりの固定観念や模範解答しか見えないマーケットリサーチに現れる表面的な建前では判断できない。食品業界に関わる皆さんには、幻想としての消費者像ではなくこの「事実」を直視することこそが求められている。
「消費者のリアル」に対する効果的アプローチ
このような事実を認めると、各家庭内で連綿と伝えられてきた食生活に関する伝統的なリテラシーは、表層的な食情報の氾濫とは裏腹に確実に低下しているということも素直に理解できるだろう。このことは同時に、少し前ならば「常識」とされていたような食品安全・衛生知識すら持たない消費者が大勢となってしまっていることを意味する。
一方で、食品化学や食品加工技術の進化は著しく、農薬や食品添加物の功罪がある意味分かりやすかった一昔前と比較して、すべての人(専門ではない業界関係者も含めて)がその効果や危険性を正しく評価することは大変困難になりつつあることも事実だろう。一般の消費者にとっては食品メーカーの言うことを(深く考えないで)丸ごと信用することぐらいしか対応策がないのだ。しかも、メーカーが出す情報が本当のところ何を意味するのかは、経験的にも、外部専門家の情報を集めてもはっきりとしたことは分からない。結果、「テレビで人気司会者が言っていたから」程度のあいまいな情報に過剰反応してしまう消費者が生まれる結果になる。
実はこの構造が、消費者の過剰とも思える「食の安心」欲求/「品質表示」の厳密性を求める心情の背景にあるのではないだろうか。食の情報を「より深く、よりありのままに伝え」、消費者の判断を支援するための、情報提供ルールの見直しが求められる所以である。
一方で、食材にかけるコストは安ければ安いほど、調理にかける時間は短ければ短いほど、「かしこい主婦」として賞賛されるような風潮が根強くあることも一面の事実だが、このような行為は、あまり「食生活に意識の高い」主婦のやることではないようだ。また、そもそも「誰かが一家の食事の準備をする」ことが必要な複数人世帯は減少の一途であり、これに替わってあらゆる世代の単身世帯が一貫して増えてきている。更には、一家揃ってそれぞれが好き勝手なものを脈絡なく食べる夕食を「個性尊重」の美名の下に肯定し、「塾通いや趣味に忙しいから」簡便な調理すら厭うような、食生活に対するプライオリティが著しく低い世帯が、1960年代生まれ以降の世代で例外とはいえない規模で出現し始めていることも、報告されている(「変わる家族、変わる食卓」岩村暢子)。
考えてみて欲しい。このような「消費者」こそが、実はあなたの奥さんであり、お母さんであり、娘さんであり、或いはあなた自身のリアルな姿ではないだろうか。食生活に対する消費者の意識は、従来どおりの固定観念や模範解答しか見えないマーケットリサーチに現れる表面的な建前では判断できない。食品業界に関わる皆さんには、幻想としての消費者像ではなくこの「事実」を直視することこそが求められている。
「消費者のリアル」に対する効果的アプローチ
このような事実を認めると、各家庭内で連綿と伝えられてきた食生活に関する伝統的なリテラシーは、表層的な食情報の氾濫とは裏腹に確実に低下しているということも素直に理解できるだろう。このことは同時に、少し前ならば「常識」とされていたような食品安全・衛生知識すら持たない消費者が大勢となってしまっていることを意味する。
一方で、食品化学や食品加工技術の進化は著しく、農薬や食品添加物の功罪がある意味分かりやすかった一昔前と比較して、すべての人(専門ではない業界関係者も含めて)がその効果や危険性を正しく評価することは大変困難になりつつあることも事実だろう。一般の消費者にとっては食品メーカーの言うことを(深く考えないで)丸ごと信用することぐらいしか対応策がないのだ。しかも、メーカーが出す情報が本当のところ何を意味するのかは、経験的にも、外部専門家の情報を集めてもはっきりとしたことは分からない。結果、「テレビで人気司会者が言っていたから」程度のあいまいな情報に過剰反応してしまう消費者が生まれる結果になる。
実はこの構造が、消費者の過剰とも思える「食の安心」欲求/「品質表示」の厳密性を求める心情の背景にあるのではないだろうか。食の情報を「より深く、よりありのままに伝え」、消費者の判断を支援するための、情報提供ルールの見直しが求められる所以である。
(
株式会社CDIソリューションズ 取締役 小川 克己
)
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『 【視点・論点】第2回 食品業界が直面している「消費者の変容」 』に対する
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