少子化・過疎化の影響で、全国の小・中学校の統廃合が相次いでいる。特に公立の場合、校舎耐用年数に達していないと、建設時に国から出た補助金を残年数分返却しなければならず、当面この傾向は続くとみられている。一方、これと表裏をなし、クローズアップされているのが「廃校再生」である。IT・ベンチャー業界とも無縁ではなく、文科省が2003年公表した「廃校リニューアル50選」には、興味深い事例が複数取り上げられている。今回は、荒川区運営の創業支援施設「西日暮里スタートアップ・オフィス(NSO)」を紹介したい。
NSOは2000年の区立中学四校の統合を受け、旧道灌山中学の跡地を利用しスタートした。東京23区の先駆けとなったこの廃校施設は、企業インキュベーションを目的としている。もともと同区は「起業家支援塾」を開催するなどベンチャーサポートに力を入れており、NSOはハード面の象徴と言っていい。現在はIT、ものづくり、デザイナー、司会業など、創業間もない19社が軒、もとい教室を並べて切磋琢磨している。
「事務所利用に限っており、入居しているのは、スキーム作りの段階にある企業ばかり。施設内には企業診断士、ITコーディネータが2、3人常駐し、『会議室』や『交流コーナー』でプランニングの無料アドバイスも行っている。今年4月に企業の総入れ替えが行われたが、早速、交流会や事業研修会を通じて打ち解けた雰囲気に。軌道に乗るまでのランニングコストを考えると、うってつけの施設であることは間違いない」(同区創業・IT支援係・丹雅敏氏) かく言う根拠を聞いて驚くなかれ。入居時に保証料の20万円はかかるが、家賃はたったの1万500円(共益費2万2050円)。全室、空調設備が設置されているのはもちろん、電話は2回線利用でき、光ファイバーも引かれている。おまけにアルソックの機械警備が万全、24時間出入りOKとくれば、応募が殺到するのも納得。「昨秋の募集はアッという間に埋まってしまった。光熱費など自己負担を考えても、月々の諸経費は5万円前後に抑えられる。また、区が入居を認めたというお墨付きは、ビジネスをしていく上で大きいのだろう」
ただ、残念なことに「次回、募集を行うかどうかは未定」とか。というのも、区の負担する共用部分の電気、水道、清掃料などを考えると明らかな赤字。また「暫定利用施設」という位置付けから、区民により良い利用方法が見つかれば、そちらへの移行は必然。「これまで更新なしの2年契約という格好で新企業を募集し、時代に合った形で地元の活性化にひと役買えたと思う。なお、趣旨は違ってもこのような施設は、東京23区のほとんどで浸透している。同じような場所を探している人は当たってみては」

http://sangyo.city.arakawa.tokyo.jp/nso/ 「今後は何も決まっていない」と丹氏。もちろん、存続の可能性も秘めているが……
確かに、暫定利用施設の方向性はお役所の理屈や地元の反対などがあり、明確に打ち出しづらく、民間への売却も遅々として進んでいない。しかし、ここでは荒川区の功績に敬意を表し、あえてその点は論じまい。「知る限り、廃校再生を行っていないのは、江戸川・練馬・文京・目黒・世田谷・豊島の6区」。起業を志す者の出発点は、案外、身近にあるかもしれない。
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板垣威史
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『 起業にうってつけの廃校施設、「西日暮里スタートアップ・オフィス」にみる様々なメリット 』に対する






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