鵠沼海岸で「ネットサーフィン」、KNN神田敏晶氏の実験とは?

2008年06月24日(火)

[ 88 号]

 著名ITジャーナリスト・神田敏晶氏が先月、渋谷のオフィスを引き払って神奈川県湘南地域に引っ越した。目的は「ITと農的生活の融合、そして湘南の地域性を生かした情報発信」だという。鵠沼海岸に程近い神田氏のオフィスを訪ねた。

神田敏晶◆KNN(Kanda News Network)代表、ビデオジャーナリスト。「湘南と渋谷の往復には電車で2時間かかる。通勤時間に仕事すると、集中できるんですよ(笑)」。通勤時間の有効な使い方も神田氏のテーマという

神田敏晶◆KNN(Kanda News Network)代表、ビデオジャーナリスト。「湘南と渋谷の往復には電車で2時間かかる。通勤時間に仕事すると、集中できるんですよ(笑)」。通勤時間の有効な使い方も神田氏のテーマという


シリコンバレーと湘南の親和性!?

 新宿から小田急線を乗り継ぐこと約1時間。鵠沼海岸駅を降りると、空がぐんと広い。商店街をウェットスーツ姿にサーフボードを抱えた若者が行き来し、江ノ島を望む鵠沼海岸までは歩いて数分。そんなリゾート地のようなロケーションに、神田氏は事務所を構えた。それにしてもなぜ湘南?

事務所から歩いて10分ほどで、鵠沼海岸に出られる。絶好のロケーションだ。平日の昼間だが、サーファーの姿が絶えない

事務所から歩いて10分ほどで、鵠沼海岸に出られる。絶好のロケーションだ。平日の昼間だが、サーファーの姿が絶えない


 「ITに自然や農を取り入れた生活がしたいと思いまして。渋谷から電車で1時間、イーモバイルのエリア内で、サーフィンができて、友人も多く住んでいて、しかも野菜を作れる庭が付いている場所を探していたら湘南になりました」

 神田氏の自宅兼オフィスからは、隣接するトウモロコシ畑がよく見える。

 「自分の畑みたいで、見ているのが楽しい(笑)」と話す神田氏は、消費する野菜の半分を自分の庭でまかなうのが夢だという。「ITと農を両立させている人って意外といないんですよ。でもソフトウェア会社『アシスト』のビル・トッテン会長もテニスコートを潰して畑にしましたし、これからそういう人は増えると思います」

オフィスからはトウモロコシやナスの植えられた畑がよく見える

オフィスからはトウモロコシやナスの植えられた畑がよく見える


 グリーンITが注目される昨今、食の世界でも輸入に頼らずなるべく自給自足を目指す動きが強まっている。食材を地産地消できれば、生産や物流に伴うCO2の排出が少なくて済むからだ。「がつがつ稼ぐビジネスのためよりも、今後は生活を楽しむためにITが活用される時代。そんなリアル・ライフに役立つITの使い方を発信したいですね」という神田氏。例えば週末農園に役立つIT、などというテーマを模索したいそうだ。

 神田氏はまた「湘南に来てみて、シリコンバレーの生活を思い出した」とも語る。「自然に囲まれたド田舎のシリコンバレーには生活にゆとりがあった。クリエイティビティにとってゆとりは極めて重要で、そういう視点から今を見直すことは大事です」。鵠沼海岸でノートPCを開いて仕事したらこれがホントのネットサーフィンだよね、と神田氏は笑う。

メッセージ性と奇抜さが大事

 もう一つ、神田氏が構想しているのが「湘南から発信する個人ウェブ放送局」だ。

 「世の中に注目されるには、メッセージ性と奇抜さを兼ね備えていることが重要。政府や企業などの大きなシステムへの信頼が揺らぐ中で、世の中はそうしたものに依存しない方向へとどんどん移行している」。その流れに合ったメディアが個人放送局だ、と神田氏は考える。「そこでのテーマが『地域』だったり『農』だったりする訳です。個人放送局ならすぐにでも始められて、地元企業の広告収入が1日1万円も入れば採算が取れる。それに水着を着た女の子をレポーターにして『ビキニITニュース』を動画配信すれば奇抜さもバッチリでしょ(笑)」

 湘南という地域性を生かしたインディーズメディア。神田氏の実験は始まったばかりだ。
( 斉藤円華 )


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