サービス残業・名ばかり管理職問題(1) 【IT業界の労務管理シリーズ】 管理監督者の定義について

2008年07月01日(火)

[ 89 号]

 昨今、サービス残業問題が大きな社会問題となっています。

 特にIT業界は労働者の成果を時間で評価できるものが少ないことから、経営者の悩みをさらに深めている現状があります。また、「名ばかり管理職」といわれる管理監督者の範囲も大きな問題となり、IT業界・飲食業界・アパレル業界を中心に、経営に多大な影響を及ぼす事態となっています。そこには、労使ともにみなさんの多くが残業について勘違いをされている現実があるというのです。

 1.年俸制だから、 2.管理監督者だから、 3.一律定額払いしているから、 4.労働時間管理をしていないから、 5.営業手当が出ているから、……だからといって、残業代を支払わなくていいのではありませんのでご注意ください。

 サービス残業問題では、労務管理への認識の誤りが原因となって問題を大きくしているのです。多くの企業では賃金計算や労働時間管理、管理監督者の範囲など労務管理全般について再度認識を改める必要があります。

 そこで今回は、皆様の記憶にまだ新しい大手ファーストフードチェーン店での店長への未払残業問題でも争点となりました管理監督者の定義についてですが、企業内の「管理職」と労働基準法上の「管理監督者」は異なります。労働基準法には管理監督者の詳細な定義はありませんが、解釈は次のとおりです。

 1.経営方針など経営に関する重要事項の決定に参画する権限を有しているか、または労務管理に関する指揮監督権限のいずれかを有していること。 2.出退勤・欠勤などについて管理をされず、自己の勤務形態について自由裁量を有し、労働時間等の規制になじまない立場にいること。 3.賃金・賞与・退職金などの待遇面で、優遇待遇が講じられていること。以上が労基法上の管理監督者といわれる労働者ですが、なかなか定義通りとはいかないものの限りなく近づけることは可能です。

 自社の労務管理の現状を正確に把握さえすれば、必ず対応策は見えてきます。労働時間管理と賃金計算の基礎を見直し、問題解決と労使共に働きやすい職場環境づくりに向けて取り組むことが労働者のモチベーションアップへとつながります。

 そして労使トラブルの防止には、お互いのルールでもあります就業規則の整備を忘れることなく実施されることをお勧めします。

次回は総額人件費を増加させることなくできるサービス残業対策についても見ていきましょう!

淺野 寿夫 社会保険労務士法人JIC 代表社員
社会保険労務士の法人組織をいち早く立ち上げ、現在は首都圏を中心に全国へ「サービス残業問題」など人事労務管理に関するサービスを多数提供、人事労務のセカンドオピニオンとしても多くの企業に携わる。

サービス残業・名ばかり管理職対策センター
http://www.zangyou.net
( 社会保険労務士法人JIC 代表社員 淺野寿夫 )

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