PiTaPaグーパスが7月31日で終了、今後は改札通過情報の提供に力点

2008年07月08日(火)

[ 90 号]

 「PiTaPaグーパス」が7月31日で終了することになった(会員受付は6月30日で終了)。PiTaPaグーパスとは、2004年8月1日にIC決済サービス「PiTaPa」導入と同時にサービスインした「鉄道IC カード対応改札機連動型携帯電話向け情報配信サービス」。「スルッとKANSAI」協議会に加盟している鉄道・バスを利用する際、会員登録したユーザーが改札機を利用すると、携帯電話にPiTaPaを用いて趣味やグルメ、沿線のイベントなどの情報や広告がメール配信されていた。なお、今回のサービス終了により、オムロン社とスルッとKANSAI社は、両社の合弁会社であるPiTaPa グーパス社を10月31日をもって清算する。

 オムロン社がシステムを提供し、当時としては画期的だったサービス。それがわずか4年で幕を降ろすあたりにIT業界のスピードを感じざるを得ない。携帯端末の進化をはじめ、取り巻く環境の変化が打撃になったことは想像に難くないが、実際のところはどうだったのか。PiTaPaグーパス社広報担当・俣野雅彦氏に説明してもらった。

元祖の小田急も3月の時点でサービス終了

 「当初見込んでいた会員数は30万人で、現状は6万7000人。これでは弊社としても採算が合わず、クライアントからも広告媒体として価値を見いだしてもらえなくなった。各種携帯コンテンツが出てくる中、広告ベースであるため、大胆な新機軸、コンテンツを打ち出せなかったのが最大の理由だろう。数年前は改札と連動しているだけで新しかったが……」

鉄道広告の新しいあり方として注目されたグーパス系サービスが終焉を迎える。広告ベースがゆえに、斬新なコンテンツ提供を行えなかったことがクライアント離れを招いたようだ(画像はピタパドットコム http://www.pitapa.com/)

鉄道広告の新しいあり方として注目されたグーパス系サービスが終焉を迎える。広告ベースがゆえに、斬新なコンテンツ提供を行えなかったことがクライアント離れを招いたようだ(画像はピタパドットコム http://www.pitapa.com/)


 片やオムロンのシステムを利用した「グーパス系」サービスの元祖である小田急電鉄。同社もまた、3月の時点でサービスを終了させている。こちらはPiTaPaが打ち切った理由に加え、違った要因も抱えていたらしい。「もともと小田急の『磁気定期券』を持っている人に限ったサービスだった。それがパスモ導入に伴い、2万人いた会員が1万人まで減ってしまった。全駅パスモ対応にする設備投資を行っても採算が取れないし、各種コンテンツ事業に対抗し得るサービスを提供できるとも考えられない」と広報担当・石井栄治氏。実は4年前、小田急のサービスインを受け、京急、東急両電鉄は導入を検討し、テストまで実施していた。「しかし、将来的に採算が取れないと決断したのだろう。あの時点で追随してくれていたら、連絡定期券と連動するなど、状況は変わっていたかもしれないが……」

 今後、グーパス系のサービスは「あんしんグーパス」がメインとなっていく。こちらは子供が改札機を通ると、保護者の携帯へ通過情報をメールで配信する世界初のサービス(PiTaPa=月額315円、小田急=月額525円、パスモ対応)。「鉄道が安心を提供する。ごく当たり前だが、それだからこそ確実な需要があるのかもしれない」(俣野氏)。ともに利用者を着実に伸ばしており、鉄道と携帯を連動させたサービスのあり方のひとつとして認知されつつある。何よりこちらは時代の要請ともいえるのではないだろうか。
( 板垣威史 )


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