《特別企画》 ケータイメールが送れない! 携帯配信サービスの現状を追う 〈前編〉、迷惑メールが悪質巧妙化、受信ブロック側も複雑に
2008年07月08日(火)
[ 90 号]
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レポート
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いま日本の携帯電話加入台数は1億台を突破。携帯メールも、大容量で表現力豊かな「デコメール」の時代を迎えた。それに伴い、携帯メールの配信サービス分野では熾烈な競争がくり広げられている。一方で、迷惑メールの激増によりキャリア側も対策を強化。配信した健全なメールさえもユーザに届く前にエラーメールとなって返信されてしまう問題が起きているのだ。老舗のエイケア・システムズ株式会社(東京・港、有田道生代表取締役)は、定評のある大量高速メール配信エンジン「MEGAPOST」を展開。アマゾンや楽天など国内1300の企業にソリューションを提供する携帯メール配信のトップランナーだ。今、携帯メール配信に何が起こっているのか。同社取締役・開発担当の山下英樹氏に話を聞いた。

エイケアの山下英樹取締役
エイケア・システムズ株式会社(エイケア)は1999年12月、パソコン向けメール配信のASPサービスとしてスタートした。携帯電話の加入者数が5000万人を越えたのが2000年3月、携帯にもECサイトが生まれ、エイケアも01年から携帯のベンダー向けに携帯メールを配信ツールの提供を開始した。
「一方で、携帯メールの広がりとともに、その頃から迷惑メールをめぐる問題も浮かび上がってきたのです」(山下氏)
迷惑メールは、受信者に無断で大量かつ無差別に送りつけられる広告目的のメール。携帯電話宛ての場合は利用者が通信料金を負担するため、社会問題にもなった。総務省は02年7月に「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(特電法)」を制定。受信者の同意を得ていないメールはすべて迷惑メールと見なし、事業者には改善命令を出し、行政処分を行うことを決定。携帯キャリア各社も対策に乗り出し、迷惑メール発信者からのメールをユーザに届かないようにする「受信ブロック」を行うに至ったのだ。
このブロックの詳しい仕組みは、キャリア側にしか分からず、一説では、エラーメールの割合が一定数を超えるとブロックが作動するとも言われる。そのため、配信事業者から発信されるメールマガジンなどの「健全なメール」であっても、受信ブロックに引っかかってしまう可能性がある。受信者の承諾を得たメールまでもが正常に配信されない状況が発生するようになってしまったのだ。エラーメールは、ユーザーの受信許否設定やアドレス変更、容量オーバーなどで発生する。配信事業者がこれを放置したままで配信を続けていると、キャリア側から迷惑メールと見なされてしまうのである。
「05年の特電法改正を機に、各キャリアはますます受信ブロック強化に力を入れるようになった。その後は、迷惑メールを制限するキャリアに対し、確実にメールを配信したいわれわれ配信事業者は、そのつど対策を行ってきました」(山下氏)
迷惑メールは出逢い系などを含め、ますます悪質・巧妙化。この5月には、罰則を強めた特電法の改正案が国会で可決されている。今後、規制の強化はあっても、緩和されることはないだろう。キャリアによる受信ブロックも複雑化する一方だ。そうした状況にもかかわらず、近年は携帯メール配信事業に新規参入する事業者が増加。価格やサービス内容をめぐって熾烈な競争がくり広げられている。
「われわれの業界は『淘汰の時代』に入ったと言われます。これまで蓄積したノウハウや総合力、サービスの質が、今後お客さまから選別される切り札になる」(山下氏)
老舗エイケアが描く今後の展開について、次号で聞く。
(後編につづく)
(
文:古俣愼吾、写真:藤村徹
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