偽装請負・二重派遣問題(1) 【IT業界の労務管理シリーズ】 請負か派遣か、その判断が問題

2008年07月23日(水)

[ 92 号]

 今回は、IT業界で日常化してしまっている偽装請負・二重派遣問題について見ていくことにしましょう。

 昨今のIT業界は、偽装請負や二重派遣というより、契約形態が何層構造にもなった多重派遣が日常化している実態があります。それとあわせて労働者の就業実態は、どこから見ても派遣であるのにもかかわらず、書類上では請負契約を行う偽装請負行為であるケースが多々あります。

 そこで問題なのが、請負か派遣かという判断。請負契約の受託業者が客先に常駐すること自体が悪いのではなく、客先の管理者によって指揮命令されることがNGなのです。そういった行為はすべて実態で判断されますので、いくら書面の契約書があるからと主張しても認められません。

 偽装請負は、職業安定法第44条で禁止された「労働者供給事業」にあたり、また、職業安定法第44条は、労働者供給事業者から供給される労働者を使うことも禁止しています。ユーザ企業や元請企業も処罰の対象となりますので、この偽装請負の代償は大きいといえます。

 では、職業安定法第44条に違反すればどうなるか?……1年以下の懲役又は100万円以下の罰金です。近年、監督官庁が偽装請負適正化への取り組みを年々強化しているため、IT業界や物流、製造業界をはじめとして様々な業界へ多大な影響を及ぼしています。現状、こういった偽装請負行為と指摘を受ける前に、派遣への切り替えを考えないといけない事業所は多くなっていると思います。

 労働者派遣事業には、「一般労働者派遣事業」と「特定労働者派遣事業」の二種類があります。一般派遣事業は許可制で、ある一定額以上の資産に関する要件や事務所の面積など様々な要件をクリアしないと許可がでませんが、もう一方の特定労働者派遣事業につきましては届出制となっており、資産や事務所の面積などの厳しい要件もなく、社長がおひとりだけの会社でも届出をおこない、即日特定派遣事業を開始することが可能です。そのため、特定労働者派遣事業の届出をおこなう事業所が増える傾向がみられます。

 この機会に実態に即した形で偽装請負から特定労働者派遣事業の届出を行い、健全な就業環境づくりに取り組まれてみてはいかがでしょうか?

 次回は「特定労働者派遣事業の届出要件」について見ていきましょう!

淺野 寿夫
社会保険労務士法人JIC 代表社員
社会保険労務士の法人組織をいち早く立ち上げ、現在は首都圏を中心に全国へ「偽装請負・二重派遣問題」など人事労務管理に関するサービスを多数提供、人事労務のセカンドオピニオンとしても多くの企業に携わる。

特定派遣事業届出サポートセンター
http://www.tokutei.net
( 社会保険労務士法人JIC 代表社員 淺野寿夫 )


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