楽天の対TBS戦略が手詰まり感を増している。TBS(東京放送)がこのほど、来春、認定放送持株会社に移行する方針を発表したためだ。認定放送持株会社は放送法に基づくもので、株主は当該企業の議決権ベースで33%超の株式を取得して支配することができなくなる。役員を送り込むなど経営参画は遠のいている。
楽天はTBS株を20%弱保有する筆頭株主。2005年秋にかけて一気に買い進んだ。当時、三木谷浩史楽天社長はネットとテレビを融合させた新事業による相乗効果で相互に企業価値を高められると主張、経営統合を持ちかけた。資金力と自社の株価にモノを言わせて、一時はTBSを土俵際まで追い込んだ。
それから3年。当時は想定できなかった法制度の変更が、逆に楽天を立ち往生させかねない状況だ。TBSの認定放送持株会社化を阻止するには、12月中旬に予定されているTBSの臨時株主総会で否決するしかない。この議案は経営の根幹にかかわる重要なものなので、議決権を持つ株主の過半数が総会に出席したうえで、その議決権の3分の2以上の賛成が必要になる。ただ、実際には、TBSが多数派工作を終えており、楽天の勝ち目は薄い。
地デジ放送開始などに際し設けられた制度
認定放送持株会社はもともと、地上デジタル放送の開始などに際して、地方ローカル局を東京キー局のグループ会社にし、資金調達を容易にしたり、経営を効率化したりする狙いで設けられた。特定の株主の議決権が33%以下に制限されることになったのは、持ち株会社が複数の民放局を支配できる存在であることなどを勘案したためだ。ちなみに、皮肉なことに今のところ、TBSの傘下入りを申し出る地方テレビ局はない。
ヤフー、MSとドラマ出演者オーディション企画
法的な出資制限以外の面でも、楽天はTBSを攻めづらくなっている。TBSがインターネット各社と提携関係の構築を急いでいるからだ。特定のインターネット企業の連結子会社になるよりも、多数のネット企業と関係を取り結ぶ方が、事業展開上有利であることを株主に示すためだ。
TBS傘下のTBSテレビは10月から始まる連続ドラマ「ブラッディ・マンディ」の出演者投票オーディションをヤフーのYahoo! JAPANとマイクロソフトのMSN内で実施している。TBSは「3社は同ドラマをテレビとインターネットという異なるメディアを通して多くのお客様に知っていただき、今後もお客様に喜んでいただける取り組みを推進」するとしている。ご丁寧にも楽天のライバル2社と組み、「楽天は不要という強烈なメッセージが伝わってくる」(外国系投信ファンドマネジャー)との声もある。
TBS問題に関しては立ち往生の感が否めない楽天。TBS株取得に要した約1200億円に対し、今売却すると500億円程度の損失が発生する。TBSが認定放送持株会社になる際、反対する株主は買い取り請求できるが、損失額を考慮すると「保有し続けるのが得策」(証券系アナリスト)との見方が大勢だ。
しかし、楽天のある元役員は「売却もなくはない」と話す。損失が出ても、キャッシュが手に入れば、新たな事業展開を強化できるからだという。残る条件は「三木谷(氏)のプライドが守られるかどうかだけ。名誉ある撤退の舞台が準備されれば」と指摘する。TBSに必要なのは、そのシナリオを準備する脚本家としての能力かも知れない。
楽天はTBS株を20%弱保有する筆頭株主。2005年秋にかけて一気に買い進んだ。当時、三木谷浩史楽天社長はネットとテレビを融合させた新事業による相乗効果で相互に企業価値を高められると主張、経営統合を持ちかけた。資金力と自社の株価にモノを言わせて、一時はTBSを土俵際まで追い込んだ。
それから3年。当時は想定できなかった法制度の変更が、逆に楽天を立ち往生させかねない状況だ。TBSの認定放送持株会社化を阻止するには、12月中旬に予定されているTBSの臨時株主総会で否決するしかない。この議案は経営の根幹にかかわる重要なものなので、議決権を持つ株主の過半数が総会に出席したうえで、その議決権の3分の2以上の賛成が必要になる。ただ、実際には、TBSが多数派工作を終えており、楽天の勝ち目は薄い。
地デジ放送開始などに際し設けられた制度
認定放送持株会社はもともと、地上デジタル放送の開始などに際して、地方ローカル局を東京キー局のグループ会社にし、資金調達を容易にしたり、経営を効率化したりする狙いで設けられた。特定の株主の議決権が33%以下に制限されることになったのは、持ち株会社が複数の民放局を支配できる存在であることなどを勘案したためだ。ちなみに、皮肉なことに今のところ、TBSの傘下入りを申し出る地方テレビ局はない。
ヤフー、MSとドラマ出演者オーディション企画
法的な出資制限以外の面でも、楽天はTBSを攻めづらくなっている。TBSがインターネット各社と提携関係の構築を急いでいるからだ。特定のインターネット企業の連結子会社になるよりも、多数のネット企業と関係を取り結ぶ方が、事業展開上有利であることを株主に示すためだ。
TBS傘下のTBSテレビは10月から始まる連続ドラマ「ブラッディ・マンディ」の出演者投票オーディションをヤフーのYahoo! JAPANとマイクロソフトのMSN内で実施している。TBSは「3社は同ドラマをテレビとインターネットという異なるメディアを通して多くのお客様に知っていただき、今後もお客様に喜んでいただける取り組みを推進」するとしている。ご丁寧にも楽天のライバル2社と組み、「楽天は不要という強烈なメッセージが伝わってくる」(外国系投信ファンドマネジャー)との声もある。
TBS問題に関しては立ち往生の感が否めない楽天。TBS株取得に要した約1200億円に対し、今売却すると500億円程度の損失が発生する。TBSが認定放送持株会社になる際、反対する株主は買い取り請求できるが、損失額を考慮すると「保有し続けるのが得策」(証券系アナリスト)との見方が大勢だ。
しかし、楽天のある元役員は「売却もなくはない」と話す。損失が出ても、キャッシュが手に入れば、新たな事業展開を強化できるからだという。残る条件は「三木谷(氏)のプライドが守られるかどうかだけ。名誉ある撤退の舞台が準備されれば」と指摘する。TBSに必要なのは、そのシナリオを準備する脚本家としての能力かも知れない。
(
麻田桂
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