~日本は世界有数の資源国!?

レアメタルは“ITのコメ” 《後編》

2008年02月13日(水)

[ 71 号]

 先月11日に独立行政法人物質・材料研究機構が発表した資料が話題を呼んでいる。「わが国の都市鉱山は世界有数の資源国に匹敵」というレポートがそれだ。これによると、都市鉱山に眠る金は6800トンと世界埋蔵量の16%、銀は6万トンと同22%にもおよび、他にもインジウム(液晶やプラズマなどのフラットパネルディスプレイ製造に不可欠)が実に61%、スズ11%、タンタル10%という具合に世界埋蔵量の1割を超える金属が多数あるという。

電子基板からは金、銀、銅がリサイクルされる

電子基板からは金、銀、銅がリサイクルされる


 何トン、何%ではイマイチしっくりこない、という人もいるかも知れない。ではこんな見方はどうだろうか。同レポートは「もし世界の他の国で資源供給がストップして、日本の都市鉱山だけで現在の世界需要をまかなったとしたら何年持つか」を「地球何個分」に例えてシミュレートしている。それによれば、電池に多用されるリチウムが何と地球7個半分! リチウムイオン電池を使うケータイやPC、ハイブリッド車が普及しているわが国ならでは、ということか。他にはプラチナ(白金。燃料電池や自動車の排ガス浄化触媒などに使用)が同6個弱、インジウムが同4個と続く。日本がいかに「都市鉱山大国」であるかが、お分かりいただけたと思う。

《破砕機に投入》巨大アームにつかまれて運び上げられる自販機 ※リーテム東京工場で撮影

《破砕機に投入》巨大アームにつかまれて運び上げられる自販機 ※リーテム東京工場で撮影


 元々は「資源小国」だった日本。技術革新と経済成長、そしてITの進展によって、日本は「都市鉱山」という形で金属資源を貯め込んだことになる。
 しかし、世界有数の保有量を誇るとはいえ、それらをきちんとリサイクル出来ているかと言えば話は別だ。

 独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構のレポート「レアメタルのリサイクル流通状況調査報告」(2006)はこう指摘する。
 「レアメタルのリサイクルはわが国の資源確保にとって重要な役割を担っているが、コスト的、技術的な問題から、元々のベース技術がある欧米に立ち遅れている面は否めない」

 レアメタルはITに欠かせない希少資源でありながら、技術や採算の面で見合わないためにリサイクルが進んでいないのである。現状ではその結果、同レポートによれば、レアメタルを含有するリサイクル資源が中国や欧米に流出しているというのだ。これではせっかくの備蓄を活かせていない事にならないか。

 前編でレポートした株式会社リーテムの山崎氏も「国内でのレアメタル回収の取り組みはまだこれからなのが実情。回収率向上には、中間処理を担う当社のような物理的処理に加え、精錬などの化学的処理も連携させたトータルフローを考える必要がある」と語る。

 日本は1983年度から、レアメタル7品目を国家備蓄鉱種として60日分備蓄する制度を採っている。IT機器の生産はレアメタルの供給が止まればたちまちストップする。レアメタルは国家を左右する戦略物資なのだ。都市鉱山のリサイクル体制の整備が急がれる。
( 斉藤円華 )


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