iPhoneいよいよプラットフォーム化へ

2008年03月18日(火)

[ 76 号]

 アップルは3月6日、iPhone SDKのβ版を発表。同時にiPhone開発コミュニティへの資金提供など、iPhoneソフトウェアデベロッパへの環境整備も発表した。今年6月からそれらを運用する。

今回の発表の様子はアップルのサイトで公開されている(http://www.apple.com/quicktime/より)

今回の発表の様子はアップルのサイトで公開されている(http://www.apple.com/quicktime/より)


 公開されたSDK(ソフトウェア・デベロッパ・キット)はβ版。正式版は6月になる。例年通りでいけばアップルのワールドワイドなデベロッパイベント、WWDCを待って正式発表となりそうだ。6月には全世界に無料で公開されることになるが、現時点では登録した一部のデベロッパへの提供に留まっている。デベロッパへの登録は年間99ドルだ。

 iPhoneソフトウェア2.0の機能アップも発表された。中でも注目は企業へのサポートで、プッシュメール、プッシュカレンダーなどを実装したActive Sync。マイクロソフト・エクスチェンジサーバとの連携も可能になった。他にもWi-Fiを使ったVoIPのサポートや、強力なゲーム環境なども公開されている。

 SDKはMacの開発環境と同じXcode。これにMacに入っているCore Audio、OpenGL ES、SQLite、Quartz(2D)など、Macの開発環境とほぼ同じものだ。これにInterface Builderやタッチセンスインターフェイス専用のCocoa Touch、さらにiPhone Simulatoなども同梱してのリリースとなる。

 iPhoneはMac OS Xが動いており、Macと同じ開発環境が使えることはやはり有効だ。アップルの他、エレクトリックアーツやセガなど5社がSDKを使って2週間で作ったというアプリも公開されたが、非常に完成度が高く、このまま遊べそうな状態だ。現在のMac系デベロッパが他の言語を使うことなく、簡単に開発が始められるという点を大きくアピールした。

http://developer.apple.com/jp/からiPhone SDKを入手できる

http://developer.apple.com/jp/からiPhone SDKを入手できる


 そして今回一番の注目は、アップルがiPhone/iPod touch用に用意した販売環境「App Store」だろう。これはアップル直営のネットショップで、ソフトウェアの販売を一手に引き受ける。ユーザーはiTunesからでもiPhone本体からでも自由にソフトウェアを購入、ダウンロードできるようになっている。レベニューシェアを導入し、登録やアプリの管理は無料。売上の30%をアップルが、残りをデベロッパが受け取ることになる。無料ソフトに関しては一切費用がかからない。新しいプラットフォームを用意しても、販売経路やシェアがないことから移行が進まないというのはよくあることだが、アップルは環境を整備し、iPodエコシステムの中にソフトウェアサービスを組み込むことで、それらの障壁を低くしようとしている。ハードの十分なシェアがあり、ソフトウェア開発環境が整い、販売経路も確立されている。新たなプラットフォームiPhone OSへの開発参加の障壁は非常に低く、魅力的な市場と言えそうだ。

 さらにiPhoneのソフトウェアやその他環境を開発するデベロッパに対して資金を提供するファンド、iFundも設立。1億ドルを用意し、開発者への資金提供を行う予定だ。

 これらの環境は6月に正式に立ち上がり、その時点でiPhone OSも2.0へとバージョンアップを予定している。おそらくその時点で、iPhoneそのものが第二世代に移行する可能性は高い。今回のソフトウェア環境がアプリのダウンロードまでを含んでいることを考えれば、iPhoneの通信速度の高速化は必須。となればやはりHSDPAへの移行が行われ、それはそのまま3G iPhoneの登場に繋がるはずだ。そうするといよいよ、昨年約束されたアジア市場への投入、日本での登場も期待されるところだ。ただし、現在はiPhone Developer Programへの参加は米国の一部の企業に限られており、日本でいつ始まるかは不明。やはりiPhoneの国内販売開始がキーになりそうだ。
( 矢橋司 )

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