規制、審査… 波紋呼ぶ違法・有害サイト対策

2008年05月13日(火)

[ 82 号]

 先月から今月にかけて、インターネットの規制に関連する動きが各所でみられた。ひとつは、青少年インターネット規制法案に対する反応である。

 4月23日、ディー・エヌ・エー、ネットスター、マイクロソフト、ヤフー、楽天の5社は共同で会見を開き、青少年インターネット規制法案に関して意見を述べるとともに、自主的な取り組みについて説明した。

左から、ヤフー・別所直哉氏、ディー・エヌ・エー・春田真氏、ネットスター・高橋大洋氏、マイクロソフト・楠正憲氏、楽天・関聡司氏、全国高等学校PTA連合会・高橋正夫氏(5社共同会見にて)

左から、ヤフー・別所直哉氏、ディー・エヌ・エー・春田真氏、ネットスター・高橋大洋氏、マイクロソフト・楠正憲氏、楽天・関聡司氏、全国高等学校PTA連合会・高橋正夫氏(5社共同会見にて)


 青少年インターネット規制法案は、自民党の「青少年の健全な育成のためのインターネットの利用による青少年有害情報の閲覧の防止等に関する法律案」に代表される検討案を指す(民主党に「子どもが安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律案」がある)。共同会見では、同法案の問題点として、大きく「保護者の意見が十分に反映されていない」「表現の自由を侵しうる」「産業競争力が失われる」といったことを挙げ、この法案に反対の意を示した。前日22日には、自民党政調会長谷垣禎一氏に宛てて意見書を提出している。

 同法案とともに大きく影響しているのは、昨年末以降の総務省の携帯フィルタリングの動き。五社のほかに会見に出席した全国高等学校PTA連合会理事・会長の高橋正夫氏は、これを振り返って保護者に相談がなかった問題に触れ、「当事者に話がないのは反対」と述べた。五社は、子どもや保護者とともに最善の環境づくりに努めるとし、活動案として、教材制作/提供や勉強会や情報提供による保護者啓発を挙げた。なお、続く24日には、ネットスターとヤフーが、共同で子どもたちのインターネット利用について考える有識者研究会を立ち上げることを発表している。

 同22日には、think- filtering.com、インターネット先進ユーザーの会(MIAU)が、同じく反対の声明を出している。前者には11名の呼びかけ人と約100名の賛同者が、後者は発表後も賛同者が増加しているがやはり賛同する団体や個人が名を連ねている。次いで、29日にはWIDEプロジェクトが反対を、30日には社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)の理事会が懸念を、それぞれ表明している。MIAUは9日にも同法案への懸念を表明していたが、5月1日には「青少年ネット規制法について考える」と題したシンポジウムを開催した。

 もうひとつ、審査を行う第三者機関についての動きもあった。

 4月8日に設立発表されたモバイルコンテンツ審査・運用監視機構(EMA)は、モバイルコンテンツの健全な発展の促進を目指し、フィルタリングやレイティング、啓発・教育プログラムなどの施策を行う。昨年末よりモバイル・コンテンツ・フォーラムが準備委員会を発足し設立に向け動いてきており、同30日には創立記念総会を行い、現状、5月末の基準認定に向け動いている。同25日には、インターネット・コンテンツ審査監視機構(I-ROI)設立の発表もあった。こちらはネットも携帯サイトも含め健全性の認定基準を策定し、9月にも認定を始める意向だ。

 一方、総務省は25日に、「インターネット上の違法・有害情報への対応に関する検討会」の第六回会合を開催。中間取りまとめとして、携帯フィルタリングの現状モデルの画一性や非選択性を改善し、独立した民間の第三者機関の取組を踏まえることなどを発表。これを元に同日携帯電話事業者らに要請を出している。

 もはや「自己責任」では立ち行かなくなってきたということになるだろうか。社会問題化し、青少年保護対策が必要だとなれば、それを行うことに異論のある者はいないだろう。しかしそれはどうなされるべきか、また表現の自由、産業・文化の発展、利権問題、実効性は……難題だが、私たちは、望ましい環境の実現を願い、あるいは目指しつつ、これらの動きを注視していくべきだろう。


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