ノキアがシンビアンOSをオープンソース化

2008年07月08日(火)

[ 90 号]

 6月24日、フィンランドのNokia(ノキア)は、自社の携帯電話に採用しているOSの開発元であるSymbian(シンビアン)を完全買収することを発表。「Symbian Foundation」を設立し、シンビアンOSをオープンソース化することも同時に発表した。設立メンバーにはソニー・エリクソン、モトローラ、NTTドコモ、AT&T、英ボーダフォンなどが並ぶ。シンビアンOSをオープンソース化し共通プラットフォームとして展開することで、現在進みつつある携帯OS戦争に名乗りを上げることにもなる。

日本では苦戦する携帯の「巨人」、ノキア。日本市場のシェアを延ばす秘策はあるのか?(http://www.nokia.co.jp/より)

日本では苦戦する携帯の「巨人」、ノキア。日本市場のシェアを延ばす秘策はあるのか?(http://www.nokia.co.jp/より)


 現在のノキア携帯のシェアは世界一だ。それは同時にシンビアンOSが世界で一番使われているOSであることも意味する。そのシェアは60%にもなり、ブラックベリーのRIMやマイクロソフトのウィンドウズモバイルなどは10%台。注目されるiPhone OSはまだ市場全体で言えば1%に及ばない数字だ。アンドロイドに至ってはまだ登場もしていないが、それでもこの時期にこの発表はやはりこれから登場するこれら2つのOSに対して機先を制する意味があると言えるだろう。すでに圧倒的なシェアを持つシンビアンOSが無料で開放されることで、ハードウェアの安定と共通化による低価格化、ソフトウェア開発にも拍車がかかるものと見られる。

 アンドロイド、iPhoneに対抗するのはシンビアンだけではない。Linuxベースの携帯プラットフォームのLiMoは4月にオープン・プラットフォームをリリースし、すでに製品化も進んでいる。携帯用Linuxの標準化に取り組んでいたLiPS Forumが6月いっぱいで活動を停止することを受け、その成果も吸収する形でさらに大きくなりつつある。対するアンドロイドは、ソフトウェアコンテストの期間が延長したり、製品登場が遅れることが発表されたりと、決して順風満帆というわけではなさそうだ。

 日本ではシンビアンOSの存在はあまり知られていないが、実はFOMAシリーズの一部の機種でも採用されている。OSのコア部分に使われており、インターフェイス部分は別になっているのだ。世界的に最もポピュラーなS60と言われるインターフェイスはノキアの携帯で見ることができるが、日本の「ケータイ文化」の中では使えない機能も多く、クセのある携帯と言われることが多い。ケータイ文化の中でノキアが苦戦している理由は、やはり日本が特殊だからという背景があるのは間違いない。

シンビアンOSを採用する日本のFOMAシリーズ (http://www.symbian.com/phones/より)

シンビアンOSを採用する日本のFOMAシリーズ (http://www.symbian.com/phones/より)


 この状況を打開するためノキアは今年の重点市場を日本に定め、現在1%にも満たない日本市場のシェアを大きく拡大したい方針だ。昨年9月にはiモード対応アプリも提供を開始し、日本市場になんとか馴染むように努力を続けてきている。さらに6月25日にはソフトバンクが発売しているX02NK(Nokia N95)で公衆無線LANサービス、Wireless Gate(ワイヤレスゲート)が利用できるソフトウェアを発表し、提供を開始。今後、日本発売の機種でも対応していく予定だという。

 今回のiPhoneの上陸で、日本市場はいよいよグローバルに対応せざるを得ない局面を迎えた。iPhoneが受け入れられるなら、S60にもそのチャンスはあると見ていいはずだ。そのチャンスを活かせるかどうかは、やはりこのタイミングにかかっている。いずれにせよこれから携帯市場は、これらグローバルなプラットフォームの中で進んでいくことになるだろう。日本のケータイ文化もこのグローバル化の波を無視することは難しい。やはりあらゆる意味でiPhone上陸が日本市場に開放を迫る「黒船」の象徴となりそうだ。
( 矢橋司 )


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