データ私的複製の是非。パブリックコメント募集へ

2007年09月26日(水)

[ 54 号]

 9月13日、第12回私的録音録画小委員会が開催され、これまでの議論の内容をまとめた中間整理案が示された。

 しかし、その内容に関して、権利者側からの文言の追加の要求や、消費者代表側からの「恣意的な内容だ」との意見が飛び交い、時間延長の末、十分な検討ができないまま終了した。

第12回私的録音録画小委員会の会場の様子。パブリックコメントの募集に関しては文化庁のサイト(http://www.bunka.go.jp/)を参照のこと

第12回私的録音録画小委員会の会場の様子。パブリックコメントの募集に関しては文化庁のサイト(http://www.bunka.go.jp/)を参照のこと


 私的録音録画補償金制度とは、1992年に導入された、デジタル方式の録音録画という「私的複製」に対して、著作権者の利益を守るために機器やメディアに課金し、補償金とする制度である。これまではMDやCD-Rなどのメディアや録音録画機器に課金がなされてきた。さらに2005年にはiPodなどの携帯音楽プレイヤーにその範囲を拡大しようとしたが、ユーザー、メーカーの反対により見送られ、現在に至っている。

 文化庁と著作権管理団体は、この制度拡大を再度推し進めようとしており、2007年度中には結論を出せるようにと小委員会を開き、9月中にも議論を終える予定だ。

 今回の委員会で検討されているのは、2005年と同じ「私的録音録画補償金制度の適用範囲をiPodなどの携帯音楽プレイヤーや汎用HDD(パソコン一般)にも拡大する」ということが一点。そしてもう一つ、「違法コンテンツのダウンロードは私的録音録画の範囲適用外とする」というふうに、著作権法の私的複製の範囲を修正することも検討されている。

 まず最初の適用範囲の拡大に関しては、これまで適用外だった携帯音楽プレイヤーはもちろんのこと、仕事で使っているパソコンにもHDDが付いており、録音録画が「可能だ」ということで課金の対象にしようと検討している。さらに携帯電話など、コンテンツの私的複製が不可能な機器に関してもその拡大を検討している。

 もう一点はこれまで違法コンテンツをアップロードした者に対してのみ罰則を設けていたものを、さらに範囲を拡大してダウンロードした者も違法であるとするものだ。罰則はないが、民事訴訟などで損害賠償請求を起こすこともあり得る。知財推進本部などが検討している「著作権侵害の非親告罪化」などが可決された場合、間違ってダウンロードしたコンテンツによって簡単に訴えられる可能性も出てくるだろう。

 この小委員会は、流れを見ていても「結論ありき」で進んでいるように見える。それは途中で出てきた資料が「補償金拡大をした場合」という前提であったり、今回の整理案でも「30条から外すことは概ね了承された」という表記があったりと、事務局から出てくる資料は恣意的だ。

 今回の議論の中でも、「本来、私的録音が被害を及ぼしているというが、某音楽会社はここ数年右肩上がりの増収で、今期に至っては過去最高の収益を上げている」という事実をもって、「そもそも私的録音は本当に被害を及ぼしているのか」という問題提起が行われた。しかし違法コンテンツは適法コンテンツの6倍も流通しているという事実があるだけで、それが被害を及ぼしているという証拠は見えていない。また、30条の範囲を変えることに関しても、今回は音楽と映像という範囲だが、将来的に写真や文章といった部分への範囲の拡大も考えられる。わざわざ法改正するよりも、現行の送信可能化権で対処すれば良いという意見もある。

 10月にはこの件に関して広く一般の意見を求めるパブリックコメントが募集される。前回2005年のときはここで反対意見が続出し、その適用を見送った経緯がある。今回の法改正に不安や不満を覚える方は、文化庁に対してパブリックコメントを送られることをオススメする。メールなどでも受け付けているため、提出も簡単だ。率直な意見をぶつけて欲しい。
( 矢橋司 )

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