紙とウェブの融合加速へ。大手新聞各社の展望

2007年10月16日(火)

[ 57 号]

 10月1日、国内の大手新聞社各社が、ウェブを活用した新聞社ならではのメディアとしての可能性創出に向け、揃って新たなスタートを切った。

 毎日新聞社は、マイクロソフト(MS)との提携を解消し、独自サイト「毎日jp」をオープンした。一方、産経新聞社と同社デジタル戦略会社の産経デジタルは、MSを迎え、「MSN産経ニュース」を共同開設。朝日・日経・読売三社は、共同事業などでの提携を発表。ウェブをめぐり、各社が方向性を打ち出す格好となった。

毎日jp(http://mainichi.jp/)

毎日jp(http://mainichi.jp/)


 総合情報サイトと位置付ける「毎日jp」は、「ニュースセレクト」「エンターテインメント」「ライフスタイル」の三カテゴリー構成。推薦ブログを紹介する「特ブロ」や、全記事ソーシャルブックマーク対応を用意する他、RSS配信やブログパーツも提供する。All Aboutやサンマリエなど、他社との連携を深めながら、記者発表会時にはブロガーも招き、外部の意見を果敢に取り入れ、「信頼のオープンサイト」を目指す。

 「紙とウェブは基本的に競合関係にないのでは、というのが毎日の考え。紙を軸に、有する情報をウェブ上でもどう活用していくかがポイントになります。目標はユーザー参加型ですが、ジャーナリズムの視点や、新聞社としての社会的責任にもきっちり取り組み、最大限に可能性を広げていきます」(毎日新聞社デジタルメディア局編集/編成担当部長・高島氏)。

新サイトを運営する毎日新聞社デジタルメディア局の様子

新サイトを運営する毎日新聞社デジタルメディア局の様子


 産経新聞グループは、「MSN産経ニュース」で「ウェブ・パーフェクト」を宣言。速報性に加え、質量充実のニュースサイトを指向する。そのため、紙とウェブの「編集統合」を実施し、意識改革にも意欲的だ。ユーザーの関心の高いニュースを「トピックス」としてサイトに設け、記事掲載期間を六ヶ月に延長した。ウェブ特性を活かした大型写真、会見や裁判の詳報も掲載。「Windows Live Me ssenger」や「Live Search サイドビュー」での情報共有や、検索機能なども取り揃える。

MSN産経ニュース(http://sankei.jp.msn.com)

MSN産経ニュース(http://sankei.jp.msn.com)


 「新聞の購読数は伸び悩んでいるのが現状ですが、ウェブ上の取り組みを制限したからといってそれが伸びるでもありません。MSの技術との融合による機能やサービスは、情報を得る以外にユーザーに楽しんでいただく重要なツール。新聞を変える意気込みで取り掛かっていきます」(産経デジタル広報担当)。他社動向については、「切磋琢磨していけたら。互いに刺激を受けつつ進化していきたい」とのこと。

 朝日新聞社・日本経済新聞社・読売新聞グループ本社の3社は、インターネット分野での共同事業と、販売事業における業務提携を合意。共同事業では、3社の主要記事や社説が読み比べできるサービス「ANY」の開始を来年初めに予定している。ニュースの共同発信ツールの提供も検討し、新聞社の影響力をウェブ上でも高めていく。販売事業の提携は、配達共同化の段階的拡大による新聞の戸別配達網の維持・強化が目的。また、災害やシステム障害などの不測事態発生時は、相互に援助する。

 俄然加速度を増した日本の新聞社のウェブにおけるジャーナリズム創造。今後も模索は続くだろうが、羅針盤は漸く方途を捉えつつあるようだ。新聞、新聞社の未来について、産経デジタル取締役の近藤氏は次のように占う。「玉石混交の情報が乱れ飛ぶインターネットが生活の大きなウエイトを占める程、信頼度の高い情報を伝える報道機関としての役割は重要になると考えます。したがって、そうした役割を果たすため、新聞社は新聞発行に加え、デジタル時代の新しいメディアを積極的に取り入れるなど、ビジネス領域を拡大することになるでしょう。その意味で、将来の新聞社は『新聞も発行する総合メディア企業』に変貌していくと思います」
( 文:森村康久、写真:岡部ユミ子 )

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