ニコニコ動画、RC2登場 新たな文化の創出へ

2007年10月23日(火)

[ 58 号]

 10月10日、ニワンゴが運営する動画共有サービス、ニコニコ動画がRC2にバージョンアップ。ようやく「ホンキ」の戦略が見えてきた。

 ニコニコ動画のバージョンアップは三度目になる。ユーチューブの動画を借りて始まったサービスは、アクセス集中のためにユーチューブ側からアクセス制限をかけられてサービス中止。自社サーバによる動画配信に移行したのが最初のバージョンアップ。当時、ユーチューブという既存のソリューションにコメント機能を付けることで、新しいコンテンツ、新しい文化を創造しようとした動きは素直に評価できた。その後、回線増強と維持に関わる費用を捻出するための二度目のバージョンアップを経て、今回が機能強化のための「前向きな」三度目となる。

秋葉原UDXで行われた会見にはニコニコ動画のユーザーも含めて約300名弱が参加。ひろゆき氏やニコニコ映画祭で審査委員長を務める手塚眞氏も登場し、ニコニコ動画の可能性を語った。

秋葉原UDXで行われた会見にはニコニコ動画のユーザーも含めて約300名弱が参加。ひろゆき氏やニコニコ映画祭で審査委員長を務める手塚眞氏も登場し、ニコニコ動画の可能性を語った。


 今回は動画に様々な加工やコメントを付加できる「ニコスクリプト」をさらに機能強化。投票機能や窓機能などでインタラクティブな要素も盛り込んでいる。他にも、要望の高かったNGワード、NG ID機能の実装、配信している画像に、同じ時間にコメントなどを割り込ませるニコニコ割り込みなどもある。

 さらに吉本興業、エイベックスなどと提携して動画コンテンツの公式配信の開始。台湾などへの海外進出。クリエイターの手塚眞氏を審査委員長に迎えた「国際ニコニコ動画祭」の開催と、2ちゃんねる同様アンダーグラウンドな存在と捉えられがちなニコニコ動画を表舞台へと押し上げようとする動きが見られる。

 もちろん、それに伴って著作権管理の強化も盛り込まれた。現在でも権利者からの申請に応じて削除は行ってきているが、さらに権利者に対して削除プログラムなどを提供して、より素早い削除対応ができるような仕組みを導入している。投稿された違法動画に対して、権利者がアクションを起こさなければ削除されないという仕組みは問題視される部分もあるが、権利者側も広告効果を期待して放置するという事象も出てきているようで、一概に消せば良いというものでもない。著作権関連は二次創作への転用も含め、権利者との話し合いの中で解決していきたいとしている。

 ニコニコ動画には確かに、著作権を侵害する違法動画が多いのは事実。そしてその違法動画を見るためにアクセスしているユーザーが多いのも事実。とすれば、著作権管理の強化によってユーザーは減っていくことも考えられる。

 しかしここ最近のニコニコ動画には、違法動画だけに限らない面白いモノが登場していることもまた事実だ。例えば萌え系アイドルボイスが歌うシンセサイザーソフト「初音ミク」は、ニコニコ動画での検索数がすでに4000を超えている。この初音ミク系のコンテンツを見てみると、曲を作る人、絵を描く人、3Dアニメを作る人といった「クリエイター」がニコニコ動画に集結し、新たなコンテンツを生み出し始めていることが分かる。これまでは日の当たらないサンデークリエイターだった人たちの発表の場として、ニコニコ動画は存在することができるようになってきたということだ。しかも登録されている動画と自分の作品を組み合わせて新たなモノを作るというマッシュアップが、ニコニコ動画上で展開されていく。これは新鮮な感覚だ。新しい文化が生まれてくる瞬間を、正に我々は目撃しているのかもしれない。

 ニコニコ動画は今後さらに進化を続け、年内にはオンラインでの動画編集が可能になるツールの提供も予定されている。さらにパートナー企業から提供される動画の二次利用なども視野に入れ、文化的な活動を目指していくようだ。ともすれば色眼鏡で見がちなニコニコ動画サービスを、新しい文化として楽しんで見てみるのはどうだろうか。
( 矢橋司 )

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