グーグルのSNS縦断型「OpenSocial」

2007年11月13日(火)

[ 61 号]

 グーグルは11月2日、Google Codeで新しくOpenSocial(オープンソーシャル)を公開した。オープンソーシャルは、一言で言えば「SNS向けアプリケーションの共通規格」。しかもAPIが公開されており、各自でアプリケーション開発が可能になる。そう、Facebook(フェースブック)のプラットフォーム公開、それに続くアプリケーション開発と同じ戦略だ。違うのは、このオープンソーシャルは一つのプラットフォームに依存しないこと。つまりどのSNSでもオープンソーシャルに参加することで、さまざまなSNSアプリを開発し、さらに相互に利用することができるようになるのだ。

Google Codeで公開されたOpenSocial  (http://code.google.com/apis/opensocial/)

Google Codeで公開されたOpenSocial (http://code.google.com/apis/opensocial/)


 米国ではマイスペースとSix Apartがイニシアチブ参加を発表予定。Orkit、Ning等数社のSNS、Flixster、Rock Youなどのデベロッパも参加が決定している。日本でもミクシィがすでに参加を表明し、すでに公開しているウェブAPIをオープンソーシャル仕様に調整して公開する予定だ。

 これまでは新しいSNSシステムが開発されるたびに、それに必要なアプリケーションを追加する必要があり、コスト面もバカにならなかった。このオープンソーシャルでは、すでに提供されているアプリケーションを利用して、SNSシステムに組み込むことができる。しかもオープンソーシャルは基本的にjavascriptとhtmlで書かれる。現在あるモノをわざわざ別の言語で書き換える必要がなく、参加は容易だ。

ユーザーはOpenSocialを通してどのSNSからでも特定のサービスを受けられる

ユーザーはOpenSocialを通してどのSNSからでも特定のサービスを受けられる


 オープンソーシャルに参加することによって、例えば新興のSNSシステムからミクシィのユーザープロフィール情報にアクセスしたり、マイスペース上でミクシィの日記を書いたりということが可能になるだろう。共通APIとして公開されている部分はどのSNSに参加していてもアクセス可能であり、各SNSはそれ以外の独自提供サービス部分でユーザー獲得を目指すことになる。

 今回の一連の動きはやはりフェースブックへの対抗という側面がある。フェースブックはAPIを公開したことによってデベロッパを集め、サービスが充実した。その結果ユーザーが集まり、成長や将来性の面でSNSの中でトップに立ち、マイクロソフトから多額の資金提供を受けたばかりだ。しかしフェースブックに参加するためには、独自のマークアップ言語で再度アプリケーションを書き直す必要があり、さらに提供されるサービスはフェースブック内でしか使えない。

 オープンソーシャルは特定のマークアップ言語を必要とせず、しかもSNS縦断型のサービスだ。これによってホストであるSNSはサービス提供までのコストや開発などのハードルが低くなる。デベロッパにとってはひとつのサービスに対してひとつのアプリケーションを開発するだけで良い。ユーザーはあるサービスを利用するために複数SNSを利用する必要がなくなるというわけで、各々にとって利点が多い。

 そしてそれはそのまま、フェースブックへ集まっていたユーザー、デベロッパを引きはがせる戦略と成り得る。SNSホスト側としては対フェースブック戦略を検討しているところに、グーグルによるAPIの提供という「餌」に飛びついた形になるが、それは結果として参加企業を増やし、よりオープンで広いネットワークができることに繋がるだろう。

 こうしてみるとグーグルはもっとも良いタイミングで、オープンソーシャルを投入したと言えそうだ。しかもキャスティングボートを握っているのはグーグルだ。独自のSNSサービスを立ち上げることなく個人情報部分にリーチできる手段を、グーグルは手に入れたのかもしれない。
( 矢橋司 )

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