携帯OSプラットフォーム「アンドロイド」の衝撃

2007年11月20日(火)

[ 62 号]

 グーグルは11月5日、かねてから「Gphone」として噂されていたグーグル携帯―正しくはグーグルが提供するオープンソースの携帯OSプラットフォーム―であるアンドロイド(Android)を発表した。さらにこのアンドロイド上のアプリケーション開発に関わる国際的な団体である、「オープンハンドセットアライアンス」(Open Handset Alliance 以下OHA)の発足も発表。日本からはNTTドコモ、KDDI、全世界ではモトローラ、インテル、LG、クァルコム、Tモバイル、スプリントといったハードメーカーや携帯キャリアが並ぶ。

 業界の動きも早い。すでにソフトウェア開発のためのSDKも登場。Windows用、Mac OS X用、Linux用などが用意されている。同時に公開されたデモ映像の中では、アドレスブックと連動して立ち上がるグーグルマップや、タッチスクリーンインターフェイスに対応したUI、3Dゲームなどが動いているシーンも見られる。すでに幾つかの端末で動いているという事実も衝撃的だ。

タッチスクリーンで動くアンドロイドのデモ(http://code.google.com/android/より)。iPhoneのように動く画面は衝撃だ

タッチスクリーンで動くアンドロイドのデモ(http://code.google.com/android/より)。iPhoneのように動く画面は衝撃だ


 アンドロイド・プラットフォームの登場で、携帯業界の地図は大きく書き換わる可能性が出てきた。オープンなプラットフォーム上に登場するサービス群は、OHAに参加するあらゆる会社から提供され、基本的にすべての機種上で動作すると見て良いだろう。しかもAPIは無料。ノキアが持つSymbian OSのシェアを逆転することも十分に可能だ。

 対する携帯の巨人ノキアは、今回のアンドロイドの動きを否定していない。「有益だと思えるなら参加を検討する」とコメントしているのだ。その一方でノキアは自社のコンテンツサービスであるOviプラットフォームの拡張を進めており、2008年にはボーダフォンに搭載が決定している。ボーダフォンへの搭載が決まれば、海外での携帯サービスはノキアがその勢力を大きく拡大することになる。

 NTTドコモはOHAへの参加は決定しているものの、まだ具体的には何も決まっていない状態。しかもこれまでにLinuxベースの携帯プラットフォーム「LiMo Foundation」の立ち上げやSymbian OSを用いたプラットフォーム開発にも着手しており、「どっちへ進んでいいか分からない」迷走状態にも見える。日本の携帯市場を考えれば、iモード搭載アンドロイドという発想は当然のように出てくるだろうし、その場合は「オープンな思想でクローズドなサービス」という皮肉な現象も起こりかねない。実際、端末そのものをオープンにせず、サードパーティアプリを認めない製品もあり得るという。「可能だが非常に考えにくいシナリオ」とはグーグルCEO、エリック・シュミット氏の談だが、日本はその考えにくいことが現在でも起こっている国である。

 そしてiPhoneも新たなプラットフォームだ。アップルがAPIを公開するとは思えないが、組み込みできるOSXで動くあのUIはやはり魅力的。アップルとしてはiPhoneだけでなくiPodでもすでに共用しており、さらにはカーメーカーと共同でカーナビへの組み込みも噂される。もちろん、アンドロイドへの参加も、グーグルとアップルの関係を考えれば全くあり得ない話ではないだろう。

 グーグルがアンドロイドを主宰する意味は、次世代端末のプラットフォームの核になることであり、それはすなわち、いずれPCに取って代わる携帯OSを押さえようという動きに他ならない。かねてから言われているグーグルOSはPCではなく携帯のOSだったと考えれば納得がいく。

 豊富なネットサービス群を持つグーグルが、その機能をフルに活かした携帯アプリケーションをアンドロイド上で展開していけば、次代のOS覇権に大きな分があるのは間違いない。かつてMac OSがWindowsにとって代わられた、大きな動きがここから始まっていくのかもしれない。
( 矢橋司 )

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