MVNO活発化 携帯サービスの変貌

2007年12月04日(火)

[ 64 号]

 11月12日、ウォルト・ディズニー・ジャパンがソフトバンクモバイルの回線を利用するMVNO方式で、来年春から携帯電話事業に参入することを発表した。すでに米国では今年いっぱいでサービスが終了することになっているこのディズニーモバイル、回線速度が速く携帯からのコンテンツ利用率の高い日本に活路を見出す戦略だ。

 ディズニーの戦略が大きな成功を収めれば、来年夏には3G版が出ると言われているiPhoneの提供先を探しているアップルがMVNOで参入という道も見えてくるかもしれない。ドコモではiモードの搭載が条件となるし、ソフトバンクではシェアがまだまだ弱いとなれば、サービスを自由にできる自社展開もない話ではないはずだ。

 MVNOとはMobile Virtual Network Operatorの略語で、日本語では「仮想移動体通信事業者」と呼ばれる。自らは通信インフラを持たず、設備を持つ事業者から回線を借り、サービス部分を提供する事業者のことを指す。MVNOがここにきて元気なのは、総務省がMVNOの新規参入を促進している側面もある。9月の「モバイルビジネス活性化プラン」でガイドラインを改訂したこともその一助になっている。

 11月22日に総務省の電気通信事業紛争処理委員会が、「NTTドコモに対して日本通信が携帯の利用者料金を自由に設定できる形で回線を貸し出すこと」を命じるように総務相に答申している。日本通信はMVNO事業者で、昨年からNTTドコモの3Gサービスを解放するよう求めていた。これらの動きを見ても、MVNOは施策として推進されていると言えるだろう。

 11月20日にはNECビッグローブ、ソネット、イー・アクセスなど6社が結成した「MVNOコンソーシアム」の会合も行われた。参加する各社はすでにイー・モバイルを利用してデータ通信サービスを開始しており、その利用などを含めた協議会という位置づけだ。

 さらに11月22日、2.5GHz帯を用いるBWA(広帯域無線アクセスシステム)の事業化に関する公開カンファレンスが開催され、MVNOを中心とした割り当てを行うなどの内容が検討された。すでに当選確実が出たとも言われる2.5GHz帯の事業者に対して、ソフトバンクの孫社長自らが激しく牽制する場面もあったようだ。ソフトバンクは11月25日、さらにモバイルWiMAX陣営を拡大し、パートナー企業を39に増やしたことを発表。2.5GHz帯獲得に向けアピールしている。

 モバイルブロードバンドのトレンドは、3GからHSDPAに移りつつあり、MVNO事業者は大手3社が足踏みをしている間にこの分野を開拓しようとしている。ビッグローブの3.6Mbpsサービスが12月半ばから開始されるが、先発のイー・モバイルもさらに速度を上げた7.2Mbpsのサービスを開始する。いよいよauなども定額データ通信を開始するとの噂もあり、日本でもデータ通信においてはHSDPAが主流となりそうだ。

 一方、携帯の次世代規格である4Gの周波数割り当てなども決まりつつある。4Gは高速移動時で100Mbps、低速時では1Gbpsの通信速度規格であり、真のモバイルブロードバンドを実現するのは4Gだとの声もある。11月22日には総務省による4Gの使用周波数帯が発表され、標準化への動きが活発化することが見込まれる。

 独自のケータイ文化を築いてきた日本が、ようやく世界標準を追いかけ始めた。この1ヶ月のめまぐるしい動きはその胎動と言えるかもしれない。世界的な競争力をつけられるかどうかは、保護ではなく規制緩和、そして市場原理を取り入れた自由な通信環境ができるかどうかにかかっている。
( 矢橋司 )

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