Google.org 社会貢献モデル発表

2008年01月29日(火)

[ 69 号]

 ここ数年、米国では、社会起業家の慈善活動やIT企業の社会貢献活動が活発だ。米マイクロソフトのビル・ゲイツ氏は、今年7月で経営の一線から引退し、教育や医療分野の投資や慈善活動を行うために夫人と設立したビル&メリンダ・ゲイツ・ファウンデイションの活動にシフトすると発表したのが昨年話題となった。シリコンバレーでは、社会貢献を積極的に推進する大手IT企業が近年増えてきた。

 そして、米グーグルの慈善部門Google.orgが、1月17日に5年から10年にわたる社会貢献モデルを発表した。環境問題や貧困問題など地球規模での問題解決を目標に、2500万ドル以上の助成と出資が行われる。資源は、グーグルの創設者らが持ち株の約1%と年間利益の1%を慈善活動に寄付し、これに加えて従業員が奉仕することでまかなう。5つのイニシアティブと助成金の内容は、以下になる。

Google.orgの公式ユーチューブ・チャンネル(http://jp.youtube.com/Googleorg)では、社会貢献活動に役立つセッションの内容が公開されている

Google.orgの公式ユーチューブ・チャンネル(http://jp.youtube.com/Googleorg)では、社会貢献活動に役立つセッションの内容が公開されている


(1)「予測と予防」
人道支援活動プロジェクト「InSTEDD(Innovative Support to Emergencies, Diseases and Disasters)」に500万ドル。世界の健康問題と人道問題の早期発見、準備、対応体制を改善する。世界健康安全保障イニシアティブ「GHSI」に250万ドル。バイオによる脅威を予知、発見、対応するために、核脅威イニシアティブによって設立された。クラーク大学に60万ドル。クラーク研究所では、気候変動、エコシステムの変化、アフリカとアマゾンの食料と健康のモニタリング、分析、予測を改善するためのシステムを開発する。

(2)「情報提供による公共サービスの改善」
重要な情報がよりスムーズに情報提供されるようパートナーと協力し、インドや東アフリカの貧困者に向けた基本的なサービスを改善する。インドの非政府団体Prathamに200万ドル。全国教育状況年間報告(ASER)および教育分野の大規模な評価を実施する。他に、バンガロール拠点の分析グループである予算政策研究センターに76万5000ドル、インドの行動指向型シンクタンクである政策研究センターに66万ドル。

(3)「中小企業の成長促進」
途上国の中小企業に対する出資の取引費用の軽減することによって、大規模な金融市場へのアクセスと、この分野への投資の機会を作る取り組みを支援する。テクノサーブに470万ドル。企業支援、雇用創出促進、世界の貧困救済強化の取り組みの強化、ガーナおよびタンザニアの企業支援のためのビジネスプランコンペの開発と実施。

(4)「石炭より安い再生可能エネルギーの開発」
石炭より安価な1ギガ㍗の再生可能エネルギーを、10年単位ではなく、年単位で実現することを目標とする。カリフォルニア州に拠点を置く太陽熱発電の専門会社eSolarに100万ドル。従来の発電所の燃料を太陽熱に置き換える。

(5)「プラグイン車の商品化の期間短縮」
プラグイン車およびビークルツーグリッド(車から電力網に電気を戻す)技術を使って、CO2排出削減、石油使用削減、電力網の安定化を目標とする。総額1000万ドルを、50万ドル~200万ドルの範囲で、プラグインハイブリッド車、電気自動車、ビークルツーグリッドのソリューションを広く商品化することが可能な営利企業に配分する。

 医療サービスや福祉サービスに貢献しようとする企業が多い中、予防医療の分野に専念する企業は少ない。ここまで具体的で根本的な問題解決を目指した社会貢献活動を行う意義は大きい。「グローバル」な展開をするIT企業にとっての「ローカル」な実践。ITナンバーワン企業となったグーグルが行うことで、世界中のライバル企業が社会貢献活動を見直し追随することになるだろう。
( 植田鉄也 )

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