
「モニタリング」とは、内部統制における五つの基本的要素のひとつであり、内部統制が有効的に機能しているかを検証するプロセスを言います。内部統制の目的は、内部統制のシステム確立でなく、社内の不祥事やミスを未然に防ぎ、企業を発展させていくことにあります。そのためには、内部統制が十二分に機能しているかを検証することが必然となります。従来型の企業は、コンプライアンス構築の規範作りやマニュアル作成のレベルで終わっていましたが、昨今の相次ぐ企業の不祥事で分かるように、マニュアル作りだけでは不祥事はなくならないのは言うまでもありません。よって、作成したマニュアルが有効に機能しているかを常時検証する必要性があるのです。
この検証作業は、「日常的モニタリング」と「独立的評価」の二つに分かれます。日常的モニタリングというのは、得意先別、営業担当別の業務に異常がないかどうかを管理職が日報や月報などの確認などで実施される活動を指し、独立的評価は、経営者、取締役会、監査役など業務とは独立した組織が、内部統制が企業全体に機能しているかを検証する活動を指します。
評価するには、まず評価範囲を決めます。経営者は、財務報告の信頼性を確保するために内部統制報告書を作成しますが、作成にあたり評価範囲を絞り込みます。まずは、財務諸表上の勘定科目と開示項目をベースに金額的重要性や質的重要性から評価が必要な部分を絞り込み、その絞り込んだ勘定科目が計上されている事業部門、子会社など重要な事業単位をさらに絞り込みます。そして、今まで絞り込んだ範囲に関連する重要な業務プロセスをさらに絞り込みするという手順をとります。なお、この評価範囲決定の手順そのものが、監査人によって実施される内部統制監査の対象であるため、後で説明できるよう資料として残しておく必要があります。
経営者は、業務を可視化し俯瞰的に把握
評価範囲が決定したら、いよいよ評価の実施です。評価方法としては、「全社的な内部統制」と「業務プロセスに係わる内部統制」の2つに分別して実施します。全体的な内部統制は主に財務報告全体に重要な影響を及ぼす内部統制を指し、会計方針や組織の構築や運用、経営判断のプロセスが対象です。業務プロセスに係わる内部統制は、販売管理や在庫管理のプロセスなど財務報告に関連する業務プロセスが対象になります。経営者は、全体的な内部統制の評価を踏まえた上で個々の業務プロセスが機能しているかを判断することが求められます。
経営者は、内部統制の評価に際して業務内容を文書化する必要があります。自社の内部統制の状況を客観的に見渡せるように、業務を可視化し概略を把握しなければなりません。文書化は、業務を標準化させるだけでなく、内部統制監査などの第三者への説明のためにも必要となります。この文書化では、内部統制評価対象の業務を洗い出し、各部署の業務内容や手順を明記する「業務記述書」、それぞれの業務の流れを示す「フローチャート」、フローチャートのどこにリスクが存在しどのようなコントロール方法がとられているかを明示した「リスクコントロール・マトリクス」を作成しなければなりません。この3つは、内部統制における「3点セット」と呼ばれ、これらが適切に作成されはじめて内部統制の整備状況と運用テストによる検証が可能になります。
内部統制の推進役となる内部監査は、社内で不適切な業務が行われていないかを検査する業務のことで、対象となるのは、財務報告の信頼性、業務の有効性・効率性、法令遵守、資産の保全の内部統制の目的にあたる業務になります。企業の不祥事が相次ぐ中、内部監査の役割も変化していることから、いっそう内部統制の推進役としての役割に期待されています。
(
植田鉄也
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