「全社レベルでの内部統制システム」

【内部統制.IT vol.010】

2007年07月03日(火)

[ 43 号]

内部統制の基本方針と、それに合うシステム構築の基本計画を決める
 今回より、「内部統制の仕組みの定着」を大きなテーマにおいて、今までの連載で説明してきた内容をもう一度おさらいしながら、さらに一歩踏み込んだ内容として内部統制を理解していただきたいと思います。
 内部統制のシステム構築は、企業のトップである経営者の責任で行われますが、経営者はまず、内部統制の基本方針と、基本方針に合致した内部統制システムを構築するための基本計画を決める必要があります。基本計画というのは、具体的に挙げると、内部統制システム構築の責任者、全社レベルでの管理体制、内部統制システム構築の手順や日程などにあたる工程、システム構築チームの組織編成、管理責任者となる担当者の教育・研修などがそれに当たります。経営者としては、当然、今、社内に既存する内部統制システムの現状をつかんでおかなければなりません。社内には内部統制に関わるルールや慣行などのようなものがあって、運用状況はどうであるかなど十分に現状把握することが重要なポイントになります。

 経営者は、全社レベルの内部統制システムを整えながら、主な業務プロセスや事業拠点となるグループ会社や支店などにおける内部統制システムの構築および整備を進めなければなりません。企業の業種や業態、規模によって、どの業務が主な業務プロセスに該当するかは変わってくると思いますが、販路、仕入れ、経理・財務などの基本的な業務プロセスはどの企業にも当てはまるものと考えられます。
経営者は管理責任者の選定と適正を吟味


 内部統制システムの構築は、経営者がリーダーシップを持って行われますが、実質的な現場のプロジェクトリーダーになるのは、各業務プロセスの管理責任者になります。企業によってその呼称は違うかもしれませんが、「部長」「マネージャー」「スーパーバイザー」「チームリーダー」などと呼ばれる肩書きがそれに相当します。これらのリーダーが承認および決済を行い、実質的な最終チェックを行う管理責任者になります。つまり、この管理責任者が、部下の不正行為や処理間違いをチェックする業務プロセスの最後の砦と言うことができます。これは、内部統制の実質的な運用において、肝になるプロセスになりますので、管理責任者が強い自覚と高い業務遂行能力を持ち合わせていなければ、せっかく決めた内部統制のシステムの牙城が崩れ落ちていくことになるでしょう。責任者の強固な自覚と使命感で承認と決済を行うことが重要課題と言えます。

 また、経営者は、その重要な任務を担う管理責任者を選定し、その管理責任者が各業務プロセスを正しく機能させるにふさわしい能力と適正を持ち合わせているかを、常に熟考する必要があります。万が一、内部統制が欠如していた、または内部統制はあったものの、有効に機能していなかったために、不正や不祥事が起きてしまった場合には、経営者の責任になります。内部統制は、その企業の中で働く従業員全員が守らなければならないしくみやルールですが、経営理念や企業風土といった、全社をひっくるめた組織全体に関わるものから、部長の承認・決済という各担当者の日常業務レベルのものまで含まれます。内部統制が、「業務に組み込まれたプロセスである」とよく表現されるのは、このためなのです。

 そして、経営者や管理責任者だけでなく従業員一人ひとりが内部統制の当事者であり、主役であるという認識こそ、内部統制を支える幹となる部分なのです。
( 植田鉄也 )

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