「経理における内部統制」

【内部統制.IT vol.014】

2007年07月31日(火)

[ 47 号]

 J-SOX法では、上場会社の経営者に適正な財務報告を作成するための内部統制が求められることから、会社の経理業務は、内部統制における最重要業務と言うことができます。会社全体の数字を扱うのは、経理の業務になります。経理部は、月次・年次決算を行い財務諸表を作成する業務、日常的な現金や預金を出し入れする出納業務を行うため、盗難や着服が最も発生しやすい状況が生まれる場所ですので、平素から、資産の保全に十二分に注意しなければなりません。


 経理担当者は、ほかの事務業務と違い、簿記や会計に関する専門的な知識が必要になりますので、他の適任がおらず、長年の担当として業務を任せられる傾向にあります。特に小規模の会社であるならなおさらのことでしょう。そういう理由から、人事ローテーションができず、責任者任せになってしまいます。万一、その担当者が不正行為を行った場合は、きわめて発覚しにくくなります。そのため経営者と結託して横領など不正を行うようなケースもあり得るのです。銀行の地方支店で横領などの不正事件が起こっているのもそのためです。

 預金については、月次で通帳残高と帳簿残高を厳密に照合し、現金の残高と帳簿の上の残高が合致するかどうかを確認しますが、実際は、振り出した小切手が取り立てに回されていないために通帳残高と帳簿残高が合わないこともあります。小切手を振り出した場合、帳簿上は預金残高を減らしてあっても受取人が小切手を取り立てに回しておらず、預金口座から小切手の金額が引き落とされていない状態がそれです。このようなことが想定されるために、加算、減算、調整後残高が明記された銀行勘定調整表を作成しチェックすることも必要になるでしょう。こういったことから言えるのは、つまり、経理業務プロセスの内部統制システムの構築は非常に落とし穴が多く困難を極めるということなのです。
キャッシュを扱わないシステムを作る
 経理部門の内部統制で重要なことのひとつは、キャッシュを扱わないシステムを作ることです。せざるを得ない仮払いなどを除き、銀行振込みを利用するようにすべきでしょう。不正行為を未然に防ぐ対策としては、職務の分掌がカギを握ります。現金・預金の管理担当者は、決して経費などの支払い権限を持たないことがもっとも大切になります。小規模な地方の支店などは、責任者が現金管理と支払の両方を一括管理してしまうために、会社の資産をあたかも個人のお金のように錯覚してしまい、いつの間にか不正行為に及んでしまうのです。そのほか、記帳担当者と出納担当者も明確に分担することも必要です。帳簿の不正な消しこみ操作をひとりで長年できてしまうような環境にあると、会社にとって巨額な損害を被ることになりかねません。

 また、経費の精算も十分に注意しなければいけません。接待費や交通費、出張費の立て替え分を高額に請求し、その差額を着服するケースも多くあります。小額であっても、不正が繰り返され多額になる危険性があります。発覚しないことが、結果的に長期にわたる小さな不正を生む温床となるのです。上司の承認を得た精算であっても、経理担当者が最後の砦だという強い意識で承認をしなければなりません。その意識が経理の内部統制システム構築の基盤を作っていきます。

 経費というのは、必ず社外で発行された領収書や請求書をもとに社内で清算します。その金額が適正な額であるかをチェックするのも、経理の重要な業務です。接待の人数に対し飲食代が高額であったり、宿泊人数に比べてホテルの部屋数が違っていたり、出張経路をごまかした交通費を請求していないかなど、チェックすべき項目は多くあるでしょう。経費は、領収書に基づいて清算するのが基本中の基本です。
( 植田鉄也 )

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