「取締役を監査するのが監査役」

【連載企画vol.019 内部統制.IT 】

2007年09月11日(火)

[ 52 号]

 取締役の仕事内容を監査する監査役について、今回は書きたいと思います。

 直接的に経営に関わりを持たない株主のために、取締役の業務内容について監査する役員が監査役になります。取締役と同じように、監査役は株主総会で選任されることになります。任期は4年です。

 取締役が行う経営をチェックすることが監査役の重要な仕事になりますが、内容としては二つあると言えます。
会計監査よりも、業務監査のほうに比重が置かれる


 ひとつは、「会計監査」と呼ばれるもので、決算書で会社の業績や財産の状況を、正しく表記しているかどうかを確認する監査です。もうひとつは、「業務監査」と呼ばれますが、取締役が行う経営すべてについて、法令違反をしていないかどうか、適法性を調べる監査になります。たいていの場合、上場企業には、会計監査人という会計のプロがいますが、その会計監査人が会計監査を行います。したがって監査役の仕事は、会計監査よりも、業務監査のほうに比重が置かれることになります。業務監査のポイントは、取締役が会社にとって適切な内部統制を構築し、それが適正に運用されているかどうかを監査することにあります。
取締役の不正、発見前の権限と発見後の権限
 では、内部統制においての、具体的な監査役の仕事内容と権限について述べていこうと思います。監査役の仕事内容は、取締役が行う経営すべてについての監査になりますから、とても権限の幅が広くなります。

 監査役の権限は、取締役の不正を見つける権限と、見つけたあとの権限の二つに別れます。監査役は取締役会に参加し、必要に応じて自由に意見を述べることができます。どのような場合でも、会社の役員やグループ会社や子会社に対して事業や業務についての報告を出すように求めたり、虚偽の報告や実態がないかを調査することもできます。可能性として、取締役が、子会社やグループ会社を巻き込んで不正行為を働くことがありますので、子会社も調査できる権限を持っています。

 次に、監査役が取締役の不正行為を発見した場合は、監査役はどのような対処をするのか、ということについてです。不正が行われようとしている時や、不正が行われる可能性が潜在的にあるような場合は、監査役がその状況を取締役会で報告しなければなりません。実際に、取締役が違法行為を行った場合は、監査役は、監査報告書にそのことを明記し、株主に報告することが求められます。

 このように、取締役を監査する重要な役割を果たすのが監査役ですが、一方では、どこまで機能しているのかと懸念されることもあります。監査役は、実際のところ、退任した取締役が就任するような場合がどの企業でも多く、かつて上下関係にあった上司や部下を監査することになります。年功序列社会の風潮が今も残る日本では、上下関係にあった者から取締役への意見は、非常にしづらい状況にあると考えるのがふつうでしょう。
距離感の適切さと、外部による監査の限界
 また、監査役は株主総会で選任されますが、取締役会の指名に基づいて選ばれるのが通例ですので、取締役会に対してネガティブな意見や姿勢を持つ人間が監査役に抜擢されることは、まず考えられないでしょう。

 実際に業務に携わっていない者の監査や、業務内容を把握しない外部による監査には、限界があるとも言われていますが、そのような現状が、社外取締制度や公益通報者保護法を成立させたきっかけでもあるのです。
( 植田鉄也 )

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