「内部統制の評価」

【連載企画vol.023 内部統制.IT】

2007年10月10日(水)

[ 56 号]

 今回は、経営者の役割と内部統制の評価の方法について述べていきたいと思います。JSOX法は、経営者に対して、内部統制の整備・運用に対する責任と、適正な財務報告に必要な内部統制が有効に機能しているかについて評価し投資家に報告することを求めています。内部統制が有効であるとはどういうことかと言うと、COSOフレームワークに準拠し、適切な整備・運用ができていて、「重要な欠陥」がない状態のことを言います。

 では、重要な欠陥があると認められる場合というのは、どんなことを指すのでしょうか。内部統制になんらかの不備があって、財務諸表上に重要な記載誤りが発生する可能性がある場合は、重要な欠陥があると評価されます。欠陥とまでもいかない場合は、「不備」と呼んで区別します。つまり、財務報告に与える影響の度合いに対して、「重要な欠陥」と「不備」に区別して、重要な欠陥がない状態のことを、内部統制は有効であると評価するのです。

 では、財務報告に際して、重要な影響を及ぼす可能性があるものについて挙げておきます。これは、金額的な影響と質的な影響の二つに分けることができます。

 金額的な影響は、連結貸借対照表や連結財務諸表全体から見て、表示されている各勘定科目の金額の大きさで判断していきます。

 質的な影響とは、たとえば、デリバティブ取引をしている企業であれば、取引自体がハイリスクであることを考慮すると、財務報告全体に重要な影響を及ぼす可能性があると評価するケースもあります。
企業グループを一つの経営組織と見なして評価


 JSOX法の、財務報告における内部統制の有効性の評価範囲は、連結ベースになります。つまり、連結グループ企業全体が評価の対象になり、グループ会社の連結財務表についても内部統制の評価に含まれることになります。今日の企業の多くは、事業の多角化が進み、分社化する傾向にあるため、企業グループをひとつの経営組織と見なして内部統制の評価をしなければならないからです。そうすると、経営者は、全社レベルで財務報告全体に重要な影響を及ぼす内部統制の評価を行うことが必要になります。連結財務諸表の勘定科目を確認しながら、金額的な影響と質的な影響を考慮し、全社的な内部統制の評価をしていきます。

 経営者は、全社レベルでの評価をしたら、次は、業務プロセスに関する内部統制の評価をします。主な業務プロセスを選んで個々の業務プロセスについて、内部統制の有効性を評価します。たとえば、「製品の販売」のプロセスならば、返品になった場合の承認の手続きやシステムへの入力方法などが重要と考えられます。

 もう一度まとめておくと、経営者は、連結財務諸表に与える影響の大きさから判断し、全社レベルの内部統制をまず評価していき、売上、売掛金などの主な業務プロセスに関する内部統制の評価をしていく、という流れになります。このような、全体から細かい内容を見ていくトップダウン・アプローチは、全体に及ぼす影響が何であるかを考える意識があるために、効率的な評価ができ、内部統制の評価にかかるコストも少なくて済みます。つまり、JSOX法は、内部統制の有効性の評価について、トップダウン・アプローチの手法を採用することによって、経営者に対し効率的な内部統制の評価として、コストをかけない方法を提起していると言えるでしょう。

 また、内部統制の評価は、事業年度末時点で行いますので、期中に内部統制の重要な欠陥が見つかった場合でも、直ちに改善するための対応すれば、内部統制は有効であるという評価ができます。
( 植田鉄也 )

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