外注管理の視点から見る、内部統制の重要性について

【内部統制.IT Special Interview】

2007年10月23日(火)

[ 58 号]

内部統制のトップランナーが語る取引先管理の重要性
 内部統制のトップランナーで、リスクモンスターと共同開発で内部統制構築支援ASPサービス「優統制倶楽部」を手がける宇佐美豊氏(公認会計士/マネジメント・パワー・エクスチェンジ代表取締役)に取材した内容を今週と来週の2回に分けてお伝えする。

 目から鱗ともいうべき、分かりやすいアプローチの内部統制論は、内部統制担当者や経営者の方にぜひ参考にしていただきたい。

 前編となる今回は、「外注管理から見る内部統制の重要性について」をテーマに、内部統制における「IT分野の外注管理」にまで掘り下げて、話を聞いた。
社外管理も非常に重要。内部統制は、外部統制とも言える
 内部統制と言っても、実は、社内の管理だけではなく社外の管理をすることが非常に重要で、内部統制は外部統制とも言える。委託先企業が、指示した通り業務を行っているか、社外のモニタリング(サービス・レベル・アグリーメント)を行う必要があるのだ。宇佐美氏は、そのビジネスのIT化と外注管理についてこう指摘した。

宇佐美氏「内部統制は、本来、経営者の自主的な判断という理解が重要です」

宇佐美氏「内部統制は、本来、経営者の自主的な判断という理解が重要です」


 「例えば、モバイル事業では、委託先が収集したクリック情報自体が自社の売上にカウントされるような、従来型とは違う複雑な課金システムになっている。どの企業も外注が多く、取引先との関係を考えると《安心・安全・信頼のバリュー・チェーン》が重要になる。信頼関係を築いていないと、正しい報告がなされないのが現実とも言えます。デジタル化・IT化の背景を経営者が理解しながら、バリュー・チェーンを築いていかなければいけない」
内部統制品質への要請は米国の実務では定着済み。経営者の理解も必要
 企業間の信頼関係構築において、自社の品質管理のレベルと取引先の品質管理のレベルが、同一レベルであることが、非常に重要なファクターになっていると言えるだろう。

 そして、ITベンダーへの指針について宇佐美氏は、
 「これからのITベンダーは、自社の内部統制の品質を売りにしていくということが、生き残るために重要になっていくのです。米国では実務としてあるように、日本でも、取引先の内部統制の品質について、証明書を求められるようになる動きがある」

 企業の大きさに関わらず、その証明書によって取引先の選別がされるようになれば、ITベンダーにとっては、経営の死活問題となってくるだろう。
日本の経営者は内部統制に対して主体的な発想があまりない
 また、内部統制を始めるにあたって陥りやすい失敗については、こうも指摘する。
 「内部統制は、経営者の判断で行わなければいけないプロジェクト。自分の会社をよくするためにこういうことをやろうという経営者の判断。事業を遂行するための手段として、内部統制を考えていくことが重要。本来は、会社の成長に合わせて内部統制を考えていくが、日本の経営者は、内部統制に対して主体的な発想があまりない」

 内部統制の波を乗り切った先にこそ、本来の経営の姿があるはず。企業はそこに全社的に向かわなければならないのだ。
宇佐美豊氏 〈プロフィール〉
新日本監査法人代表社員を経て同社(MPX)を設立。日本および欧米の多国籍企業の監査や7年間の海外駐在を経て、現在、内部統制評価の制度化への対応を進める日本企業への支援業務を多数手掛けている。
マネジメント・パワー・エクスチェンジ株式会社 <MPXの事業内容>
費用対効果を重視した、企業のリスク管理、内部監査、内部統制の構築・評価等の支援業務
( 文:植田鉄也、写真:岡部ユミ子 )

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