株式会社スプリューム 代表取締役社長 梶塚千春

【2007年冬 仮想世界大特集】

2007年11月20日(火)

[ 62 号]

 \'07年7月、リクルートは同社のフリーペーパー「R25」の3周年企画として、学園祭をモチーフとした「R25的ガク祭」を仮想世界で実施した。そのプラットフォームとして選ばれたのがスプリュームだ。スプリュームはその後もマイクロソフト主催のイベント「REMIX07 TOKYO」での活用や、フジテレビからの出資、インターネットエクスプローラー用のプラグイン提供開始など様々な活動を行い、国内発の仮想世界サービスとして注目を集めている。スプリュームのこれまでとこれからについて、同社代表取締役の梶塚千春氏に話を聞いた。

1984年東京大学工学部卒。CGプロダクション、トーヨーリンクスに入社。独立後、ケー・エー・ジェーを設立し、空間リンクの概念を入れた新しい仮想空間を提唱。2005年スプリュームを設立し、オープンエンドな仮想世界<スプリューム>を展開

1984年東京大学工学部卒。CGプロダクション、トーヨーリンクスに入社。独立後、ケー・エー・ジェーを設立し、空間リンクの概念を入れた新しい仮想空間を提唱。2005年スプリュームを設立し、オープンエンドな仮想世界<スプリューム>を展開


――仮想世界に取り組み始めたきっかけはなんでしょうか。

「1980年代から三次元CGに関わっていたこともあり、3Dで何ができるのか、を常に考えてきました。当初の3DCGは、ハイエンドなワークステーション環境ならではのものでしたが、ゲーム機やPCの進化でエンドユーザー環境でも体験できるようになりました。ハイエンドで可能だったものは、10年ほど遅れて、エンドユーザーも活用できるようになります。『仮想世界』のさまざまな技術や表現も同様です。例えば、90年代にトレンドだったモーションキャプチャ―が、セカンドライフなどでようやく注目を集めるようになりました。弊社でも、ハイエンドCGの蓄積を、エンドユーザー環境にどんな形でどのタイミングで提供するのが最適かを常に考え、フェーズに分けてサービスをリリースしていきます」

――そのひとつが先ごろに発表されたインターネットエクスプローラー用プラグインですね。

「そうです。今後はユーザーリサーチでも希望の多かった、仮想世界に自分やコミュニティの部屋を持つSNS的なサービスを開始します。
 これらは既に公開している『街』などとあわせて、ショーケース的な意味で自社で提供していきますが、スプリュームの基本は『オープンエンド』なプラットフォームです。ユーザーは既存のウェブサーバーから自分の『セカイ』を配信し、それを『空間リンク』によってサーバーを越えてシームレスにつなげていくことができます」

専用クライアントを立ち上げなくてもブラウザで仮想世界をのぞくことができる。既存のサービスに3D表現を付加するといった使い方が生まれる

専用クライアントを立ち上げなくてもブラウザで仮想世界をのぞくことができる。既存のサービスに3D表現を付加するといった使い方が生まれる


――空間リンクについて、もう少し教えてください。

「スプリュームではユーザーが自身のウェブサーバー上に構築した仮想空間を「セカイ」と呼んでいます。『空間リンク』は既存のウェブのリンクと似ていますが、ウェブのようにページが切り替わるイメージではなく、自然にセカイとセカイがつながっていくイメージになります。こうした仕組みを統一的なサーバー環境に依らずに実現できるのがスプリュームの特徴のひとつです」

――スプリュームのこれからの動きについて教えてください。

「仮想世界は、ユーザー体験をよりよくする仕組みだと考えています。一方で、今は仮想世界に興味がある人とない人のギャップが深いのが現実です。こうした課題に対しては、利用開始までのハードルを下げるため、ブラウザのプラグイン提供などを行ってきました。今後はインタフェースを簡便にする仕組みやSNS的なサービスなどによって慣れ親しんでもらいたいと考えています」
 今年は多くのビジネスユーザー向けイベントに登壇し、忙しい日々を送っていた梶塚氏だが、来年はもっと個人ユーザーに可能性を知ってもらう機会を設けたいと話す。

ポップで明るく、開放的なショッピングモール風景

ポップで明るく、開放的なショッピングモール風景


ポップな印象が強いスプリュームだが、もちろん様々な情景の描写が可能だ。最近では「ミュージアム・イン・ザ・ダーク 伯爵の館」といったダークな雰囲気のコンテンツもリリースしている

ポップな印象が強いスプリュームだが、もちろん様々な情景の描写が可能だ。最近では「ミュージアム・イン・ザ・ダーク 伯爵の館」といったダークな雰囲気のコンテンツもリリースしている

( THE SECOND TIMES 編集長 箱田雅彦 )

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