
モバイルマーケの本質を知る
世界のマーケティング界で、日本が先行して展開しているモバイル・マーケティングを包括的にまとめた初の書籍だ。
著者は、早稲田大学商学部教授の恩蔵氏、電通ネットイヤーアビーム代表取締役社長の及川氏、ディーツーコミュニケーションズ代表取締役社長の藤田氏という錚々(そうそう)たる三名が、学術と実践の両面から解説している。
「狙った顧客を『即購入』に導く! 25の最新事例を論理化」と本書の帯にあるように、マーケティングの役割の中心となる顧客価値について、「創造」「伝達」「「説得」「共有」とカテゴライズし、それぞれをモデル化。そのうえで、著名企業サイトでのキャンペーン成功事例を掲載している。
一例を挙げれば「ローソン/謎のローソン部」「NTTソルマーレ/コミックi」「ジー・モード/Get!!プチアプリ」「ロッテ/Ghana」「トヨタ自動車/PASSO」「日本マクドナルド/えびフィレオ」「マンダム/ムービングラバー」といった事例だ。これら通じて紹介される多彩な手法は、IT関連やモバイル業界に身を置く者なら興味深く感じるのではないだろうか。専門書ではあるが、実践書としても活用できる。
一方で論理や学術面からも見逃せない。新しいビジネスモデルや新たな小売業態、マーケティング手法の多くが欧米からの輸入であったなか、モバイル・マーケティングの実践は日本が大きくリードしている、と本書が指摘するように、わが国初のマーケティング・スタンダードとして、その可能性や本質をきめ細かに解説している本書の意義は、非常に大きいといえよう。成長期に差し掛かったモバイル・マーケティングは、今後どこへ向かうのか。本書から受ける示唆は多い。
『モバイル・マーケティング』
著者:恩蔵直人、及川直彦、藤田明久
発行:日本経済新聞出版社
A5判/189ページ 定価:本体2,200円+税
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