
親近感と真実味がわいてくる
上司は部下より先にパンツを脱げ――リクルートで学び、ベンチャーで試し、社長となって確立した99の仕事術――。決して上品とは思えないインパクト重視の書名と、長いサブタイトルを見ただけで満腹になってしまいそうになった。
さらに帯には「3万人への研修、2000社への指導」「ペーペーが3カ月でエースに育つ」「チームリーダーが2年で社長になる」等々とある。著者は1965年生まれの43歳。リクルートに入社後、ベンチャー企業数社の取締役を歴任し、現在は経営コンサルト会社の社長だ。読書前から内容が透けて見えるかのようである。どうせ、この手の本にありがちな、押し付けがましい、自慢に満ちた啓発本ではないのか? 否定的な印象をぬぐい切れないまま読み進めていくと、当初の予想は見事に裏切られていた。
著者自身の失敗や葛藤、苛立ちといった人間臭い経験談やエピソードが随所で現れ、自社の信頼できる上司が話してくれているような親近感がわいてくる。こうした経験から導き出された提言や仕事術なので、どこか真実味がある。書名の通り、まさに筆者自身が率先して「パンツを脱いで」自己を開示しているから、そう思わせるのである。
「X」や「Y」「SL」といった馴染みの理論や各種用語の解説も盛り込まれ、一話ごと読み切り型のスタイルもいい。ビジネスパーソン向けのノウハウ本としても有用性が高い。一方、大企業とベンチャー企業を舞台とした人間ドラマとして通読するのも面白いし、得られるものは多いはずだ。
『上司は部下より先にパンツを脱げ』
著者:小倉広
発行:徳間書店
新書判/256ページ
定価:本体1470円 (税込)
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