《EMA》 携帯電話向けコミュニティサイトの認定基準を発表

2008年07月15日(火)

[ 91 号]

 健全な携帯電話向けコンテンツの発展・促進を目指して設立された団体「モバイルコンテンツ審査・運用監視機構(以下EMA)」は、携帯電話向けコミュニティサイトを対象とした認定基準を発表した。「基本方針」「監視体制」「ユーザー対応」「啓発・教育」の4分野について、22の要求項目が挙げられている。

http://www.ema.or.jp/ 今回の発表には、一定の基準をクリアすることで、プログラムが正しい方向へ運営されていくという期待が込められている

http://www.ema.or.jp/ 今回の発表には、一定の基準をクリアすることで、プログラムが正しい方向へ運営されていくという期待が込められている


 まず、EMAが民間主導で設立されたのは、今年4月であることについて触れておかなければなるまい。つまり、ここ数カ月間に忌まわしい事件が起こり、福田康夫首相が「携帯は子供に必要がない」などと発言する以前から、今回の発表に向けて準備が進められてきたわけである。これについて、広報担当・岸原孝昌氏は「基準では、問い合わせ対応窓口の設置を明記しているが、事業者が通報したからといって事件を止められるかどうかは別問題と考える」という見解を示してくれた。

 「コミュニティサイトがあるから犯罪が起こるのではないし、すべての書き込みが悪であるような考えは感情的過ぎる。恐れるのはこういった論調によって、健全運営を懸命に心掛けている事業者の意欲が削がれること。今回の発表には、一定の基準をクリアすることで、正しい方向へ運営されていくだろうという期待が込められている。だから、EMAの示す基準は絶対ではなく、逆に適合しないからといって有害と見なすものでもない。ほかにも第三者機関が生まれ、複数の認定制度が生まれるような流れを望んでいる」

 本題である中身に話を移そう。まず「基本方針」には、広告掲載基準の明確化など6項目が明記されている。ポイントは「サイト運用管理体制に関する専門意思決定機関の設置」にある。これは、「代表者による最低限の企業努力は行っているという宣言」と言い換えることができよう。また「監視体制」では、監視員の確保や不適切な投稿への速やかな対応など六項目が、「ユーザー対応」では個体識別番号取得の義務付けなど7項目が求められている。当然、小規模サイトに関しては、人員数、パトロール時間など不可能な部分があるため、例外を設けるなど配慮を欠かしていない。なお、最後の「啓発・教育」については“含み”があるため、再度、同氏に説明してもらった。

 「事業者に対しては、注意の喚起と禁止事項の明記を義務付けているが、実際にはユーザー教育につながるとは考えていない。というのも、ネットが生活の一部として欠かせない時代、フィルタリングで子供を46時中監視することはリテラシー育成につながらない。悪質なものとそうでないものを見分ける目くらいは必要だろう。現状、社会が運営者に求めているものと、果たすべき義務にズレがあるように思う」

企業努力を促し、健全なネット社会を実現する狙い

 あまり楽観的でいられる世相ではないが、この基準は悪質サイトを取り締まるものではない。「NG基準を示せば、事業者、ユーザーともに抜け道ばかりを探す。これは人間の性だろう」。つまり、携帯コミュニティサイトのポジティブな方向を示し、EMAの認定取得のために企業努力を促すことで、健全なネット社会を実現させようという狙いがあるわけだ。
( 板垣威史 )

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