ASP・SaaSインダストリ・コンソーシアム(ASPIC)は5月19.20の2日間にわたり、秋葉原コンベンションホールで「ASP・SaaSイノベーション・シンポジウム(ASIS) 2008」を開催した。業界を代表する企業が多数参加し、計10トラック49講演を実施。ASP・SaaS関連では国内最大規模のイベントとなった。
4年後には2兆円市場
「所有」から「利用」へとITのあり方を変革する大きな潮流として、SaaS(Software as a Service)への関心が高まっている。昨年6月に「経済財政改革の基本方針2007~『美しい国』へのシナリオ~」の中でASP・SaaSの普及促進についての閣議決定がなされ、11月には総務省が「ASP・SaaSの安全・信頼性に係る情報開示指針」を公表。同指針に基づく認定制度も、今年4月にスタートしている。
こうした中で開催された今回のASIS 2008でも、初日の基調講演には増田寛也総務大臣が登壇。ASP・SaaSの普及促進が、いまや国家レベルでの重要テーマであることを強く印象づけた。
実際に、市場も大きく伸びている。ASPICの河合輝欣会長によると、国内のASP・SaaS事業者は1000社以上であり、利用者も製造業や情報通信業を中心にあらゆる民間業種、公共分野に浸透。さらに、事業者へのアンケートなどを基にしたASPICの予測では、データセンターを含めたASP・SaaS関連市場は今後年率30%程度の成長を続け、2012年には約2兆円の市場規模が見込まれる。

挨拶するASP・SaaSインダストリ・コンソーシアム(ASPIC)の河合輝欣会長
アワードの授賞式も
開催2日目には、「ASP・SaaS・ICTアウトソーシングアワード2007/2008」の授賞式が実施された。同アワードは、ASP・SaaS事業者の意欲向上を目的に、優秀かつ社会に有益なサービスやビジネスモデルを展開している事業者を表彰するというもの。ASP・SaaS部門とデータセンター部門があり、それぞれ総合グランプリおよび各賞が選出される。
今回、ASP・SaaS部門の応募総数は96社。その中から総合グランプリには、プロパティデータバンクの不動産管理ASP・SaaS「@プロパティ」が選ばれた。一方、データセンター部門には26社がエントリーし、富士通の館林システムセンターが総合グランプリを受賞した。

アワード審査委員長の中島洋氏(左)よりトロフィーを授与されるデータセンター部門総合グランプリの富士通アウトソーシング事業本部・室町義昭本部長(右)
授賞式では、総合グランプリの両社をはじめ両部門で計28社の受賞企業に対して、アワード審査委員長の中島洋氏(ASPIC顧問)よりトロフィーを贈呈。授賞式後には、プロパティデータバンクと富士通館林システムセンターのアワード総合グランプリ講演も行われた。
サービスを通じて企業連携する形に
2日目の特別講演では、慶應義塾大学総合政策学部教授の國領二郎氏が「社会経済モデルが高度成長から成熟に向かい、不確実性が高まってくると、いかにコスト構造を柔軟にできるかがユーザー企業にはとって重要となる。今、自社で固定設備を持たずに柔軟に利用できるASP・SaaSのニーズが伸びてきているのは、経済の大きな流れの中で、ある種の必然と言える」など、興味深い考察を展開。また、「ASP・SaaSのサービスを介して、複数の企業が連携できるような形になるでしょう」と、今後の進化の方向性についても言及した。
ほかにも、2日間を通して様々な企業が講演を行い、ASP・SaaSの最新動向をリアルに伝える充実の内容となった。

講演会場に併設された展示コーナーにも多くの人が訪れた
(
萩原敬生
)
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