SaaSビジネスの成否決めるものとは、SOABEX研究会が前川徹氏招く

2008年08月19日(火)

[ 95 号]

 SOABEX研究会(藤井博之代表幹事=ビジネスオンライン株式会社代表取締役)は7月30日、第6回研究会を開催した。同会はSOA(Service-Oriented Architecture)を指向し、ベンダー間の連携を強化することによって、中小企業へのASP・SaaSの普及を図る目的で昨年7月に発足した。2カ月に1度「Business Exchange」と名付けた定例会を開き、参加各社の研鑽と親睦に努めている。今回は、サイバー大学IT総合学部教授で、社団法人コンピュータソフトウエア協会専務理事の前川徹氏を講師に招き、「SaaSの未来を考える―SaaSビジネスの成否を決めるものは何か」と題した講演が行われた。

前川徹氏

前川徹氏


▼世界のSaaS市場、年間成長率25~36%に

 前川氏はSaaSの市場規模について世界的には年平均成長率は25~36%と予測されており、「極めて高い伸びを示している」と報告した。SaaSの利用者側からみたメリットでは「システム運用の手間が省ける」「導入作業が不要ですぐに利用を始められる」ことが指摘され、「初期コストが安い」こともメリットとして各種調査を引用して示した。

 一方、デメリットとしては「社外にデータを預けるためセキュリティが問題」「ネットワーク障害などがあると使えなくなる」ことが挙げられているが、コンピュータソフトウエア協会の調査では「信頼できるベンダーであれば自社でデータを持つよりSaaSを利用した方が情報セキュリティ面で安心である」という意見に過半数が賛成しており、これはSaaSについてよく知っている人ほど、高いことが分かった。

 前川氏はまた、ハードウエア、ネットワークに続き、現在ソフトウエアのコモディティ化(低価格化)が始まっており、一方で、ソフトの過剰性能や過剰機能が問題になりだしていると指摘した。ソフトウエアの性能がユーザーのニーズを超えてしまういわゆる“オーバーシューティング現象”だ。だが、必要なときに必要なものだけソフトウエアを利用することができるSaaSならば「オーバーシューティングを心配することはなくなる」わけで、この面からもSaaSのメリットは大きいことを指摘した。

▼課題はサポートなどの人的コスト面

 SaaSはまた、利用者全員でコストを分担する“マルチ・テナント方式”であり、「パッケージソフトに比較して運用・保守工程においてもスケールメリットが働く」とした。実際にセールスフォース、ネットスィートなどのSaaS関連企業の粗利率は70%前後と高く、顧客層も従来はビジネスの対象とならなかったロングテール部分が新しい市場となり得ることを示した。ただ、課題はマーケティングとサポートのコストで、そのためには「手離れのよいサービスであることが必要」だと指摘した。
( 丸山隆平 )


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