中国・知的財産事情 巨大市場のゆくえ

2007年07月10日(火)

[ 44 号]

《参考》北京五輪は2008年8月開催(画像は公式サイト http://en.beijing2008.cn/)

《参考》北京五輪は2008年8月開催(画像は公式サイト http://en.beijing2008.cn/)

 北京五輪開催で盛り上がり、現在も二桁の経済成長率を堅持している中国。10年後には世界最大の消費国になるといわれている。一方で、先だって、北京の遊園地の偽ドラえもん事件が取り沙汰された。この事件に象徴される海賊版問題は、中国の巨大市場に進出する際の懸念材料となりうるだろう。経済産業省による「中国における知的財産権侵害実態調査(2006年1~12月)」をみると、知的財産侵害の被害の実態は深刻である。またアメリカの通商代表部や先進 国クラブと呼ばれる「OECD(経済協力開発機構)」も、中国に対する海賊版の懸念の認識を示しており、中国の知的財産政策に厳しい見方を示している。
政府は知的財産保護活動への協力姿勢を表明
 しかしながら、現在の中国政府は、知的財産権の保護に関して、知的財産保護活動に協力していく姿勢であると表明している。また、世界知的所有機関(WIPO)に正式加盟を申請した。そして著作権保護推進のための関連国際条約「WIPO・著作権条約」、「WIPO・実演・レコード条約」(インターネット条約)を施行するなど、具体的行動を示している。

 国内の知的財産保護政策としては、中国政府の行政機関(国家版権局)で積極的な取り締まりキャンペーンを行い、多数の海賊版を没収している。その上、中国における司法権の最高機関である最高人民法院では、ヤマハ発動機の商標権を侵害した中国国内企業に対し1億円以上の損害賠償を命じる判決を出したことをはじめ、司法においても海賊版撲滅へ積極的貢献をしている。

 日本の権利者団体などは、経済産業省や文化庁の支援により、2002年8月2日に「コンテンツ海外流通促進機構」(CODA)を設立し、現在中国政府と協力して積極的に知的財産の保護を図っている。現在「CODA」の事務局業務を担当している日本貿易振興機構(ジェトロ)の在外企業支援・知的財産部・知的財産課の重岡氏によると、

 「現在、中国において、著作権など知的財産に対する意識は向上しています。海賊版を製作するのは一部の確信犯であり、現在の中国の消費者は、市場ニーズにあった正規品を望んでいる」とのこと。また今後は、国際条約の加盟だけではなく、国内法の運用面の改善が今後の課題であると言及した。

 これは、インターネットの普及による知的財産権の意識の浸透が背景にあるかと思われるが、中国市場進出には、個々に関する十分の市場調査や、司法による救済の効果のシミュレーション、法制度の運用の調査などが重要である。

 現在EU(欧州連合)が、中国を市場経済国と認定する動きがある。そして将来的には日本、韓国、中国の経済統合構想を具体的に進めると、より実務的な解決に向かうと思われる。現在においては中国の知的財産権への認識の向上は確実に進んでいる。

 以上から、中国のビジネス法の改善が進んでいることもあるので、今後、中国との民間レベルでの関係づくりを強化していくことによって、現在の海賊版問題など懸案事項の解決につながると期待したい。
( 西原崇文 )

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