ガソリンという言葉に自ずと敏感になる昨今。水産庁が食用ではない海藻(主にホンダワラ)からバイオエタノールを作る技術開発に着手するというニュースが飛び込んできた。一部全国紙によると、同庁研究所では、政府予算で6000万円の研究費を確保しており、5年以内に実用化の運びという報道もなされている。
まずバイオエタノールについて簡単に説明すると、主にサトウキビやトウモロコシなどのバイオマスを発酵させ、蒸留したものを指す。同じ量のガソリンと比較して熱量が約34%と小さいが、ガソリンと混合しやすく、ある程度の混合比までなら既存のガソリン内燃機関を改造せずに利用し続けることができるのが特徴。また、開発の背景にはエコ的な発想がある。つまり、再生可能な植物資源から生成されるため、理論的には無尽蔵で、燃焼しても大気中の二酸化炭素量を増やさない点が期待されたわけだ。なお、日本は「バイオマス・ニッポン総合戦略」に取り組んでおり、2030年までに60万klの輸送用燃料をバイオエタノールによって確保することを目標としている。
さて、海藻を使ったバイオエタノールに話を移そう。昨年、東京海洋大学、三菱総合研究所、三菱重工業などが参画する研究グループは「日本海に1万平方キロメートルの養殖場を作り、年間2000万klのバイオエタノール(=通常のガソリン1400万kl、国内ガソリン年間消費量の約4分の1に相当)を海藻から生産する」プロジェクトをスタートさせた。また、海外では、12月に国際石油資本のロイヤル・ダッチ・シェルが、藻からバイオ燃料を製造する試験プラントをハワイに建設することを発表している。しかし、肝心なのはいずれも実現には至っていないことである。
同庁研究所・松野氏も、センセーショナルな報道とは対照的に慎重だ。「このプロジェクトは微妙な位置付け。バイオマス・ニッポン戦略の一環ではあるが、2030年までの目標数値には含まれていない。というのも、海藻の大半を占める成分・アルギン酸から、エタノールを精製する技術は今のところ存在しない。今回の予算請求はその技術確立のために行ったもので、正直、数年内での実用化は厳しいと思う。海外を含め、民間との情報交換は活発に行っているが、これといった技術は耳にしていない」
ちなみに、海藻の存在がクローズアップされるのは、バイオエタノールが食糧と競合するためでもある。需要が急増したトウモロコシなど、穀物の価格が上昇し、食料の高騰を招くなど悪循環が起こっていることは説明不要だろう。その点、二酸化炭素と水から炭水化物を合成し、光合成を行う海藻は肥料を必要としない。「おまけに繁殖能力が高いとくれば、注目を集まるのは分かる。確かにアルギン酸以外のわずかな成分(セルロースなど)からの抽出なら、今の段階でも簡単に行える。しかし、それでは陸上の植物で行っていることと変わらず、このプロジェクトの意義に反することになる。農業や林業が進み過ぎていること、ましてや、時代が時代なだけに、世の中の期待が先走っている感がある」
長期的に見れば、非資源島国・日本にとって大きな意味を持つプロジェクトであることは間違いない。ただ、ガソリン国会とは違い、時期がくれば着地点が見えてくる類いのテーマではなさそうだ。

水産庁(http://www.jfa.maff.go.jp/) 日本が京都議定書で世界に対して公約した温室効果ガスの削減目標に向け、2007年4月には首都圏50か所のガソリンスタンドにおいて、バイオエタノール混合ガソリンの供給が始まっている。ただし、原料はトウモロコシやサトウキビなどである
まずバイオエタノールについて簡単に説明すると、主にサトウキビやトウモロコシなどのバイオマスを発酵させ、蒸留したものを指す。同じ量のガソリンと比較して熱量が約34%と小さいが、ガソリンと混合しやすく、ある程度の混合比までなら既存のガソリン内燃機関を改造せずに利用し続けることができるのが特徴。また、開発の背景にはエコ的な発想がある。つまり、再生可能な植物資源から生成されるため、理論的には無尽蔵で、燃焼しても大気中の二酸化炭素量を増やさない点が期待されたわけだ。なお、日本は「バイオマス・ニッポン総合戦略」に取り組んでおり、2030年までに60万klの輸送用燃料をバイオエタノールによって確保することを目標としている。
さて、海藻を使ったバイオエタノールに話を移そう。昨年、東京海洋大学、三菱総合研究所、三菱重工業などが参画する研究グループは「日本海に1万平方キロメートルの養殖場を作り、年間2000万klのバイオエタノール(=通常のガソリン1400万kl、国内ガソリン年間消費量の約4分の1に相当)を海藻から生産する」プロジェクトをスタートさせた。また、海外では、12月に国際石油資本のロイヤル・ダッチ・シェルが、藻からバイオ燃料を製造する試験プラントをハワイに建設することを発表している。しかし、肝心なのはいずれも実現には至っていないことである。
同庁研究所・松野氏も、センセーショナルな報道とは対照的に慎重だ。「このプロジェクトは微妙な位置付け。バイオマス・ニッポン戦略の一環ではあるが、2030年までの目標数値には含まれていない。というのも、海藻の大半を占める成分・アルギン酸から、エタノールを精製する技術は今のところ存在しない。今回の予算請求はその技術確立のために行ったもので、正直、数年内での実用化は厳しいと思う。海外を含め、民間との情報交換は活発に行っているが、これといった技術は耳にしていない」
ちなみに、海藻の存在がクローズアップされるのは、バイオエタノールが食糧と競合するためでもある。需要が急増したトウモロコシなど、穀物の価格が上昇し、食料の高騰を招くなど悪循環が起こっていることは説明不要だろう。その点、二酸化炭素と水から炭水化物を合成し、光合成を行う海藻は肥料を必要としない。「おまけに繁殖能力が高いとくれば、注目を集まるのは分かる。確かにアルギン酸以外のわずかな成分(セルロースなど)からの抽出なら、今の段階でも簡単に行える。しかし、それでは陸上の植物で行っていることと変わらず、このプロジェクトの意義に反することになる。農業や林業が進み過ぎていること、ましてや、時代が時代なだけに、世の中の期待が先走っている感がある」
長期的に見れば、非資源島国・日本にとって大きな意味を持つプロジェクトであることは間違いない。ただ、ガソリン国会とは違い、時期がくれば着地点が見えてくる類いのテーマではなさそうだ。
(
板垣威史
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『 海藻抽出バイオエタノールの可能性と現状 』に対する






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