ゲーム産業に、「今」必要な人材を創る場でありたい

【キャリアデザインの匠たち】

2007年12月18日(火)

[ 66 号]

 次世代機向けゲーム開発が進み、プロジェクト規模が大きくなるにしたがい一時期に大量の人材が開発現場で必要とされるようになった。派遣でまかなえないほどの人材ニーズに対応すべくデジタルスケープでは制作子会社のバウハウス・エンタテインメントでの受託開発を進めている。ゲーム業界の人材派遣と開発・制作を行うデジタルスケープ、子会社でゲーム開発・制作を行うバウハウス・エンタテインメント(以下、バウハウス)の4名に登場していただき、ゲーム業界の新しい派遣への取り組みと人材育成について対談してもらった。

――派遣に加え、開発の部分を拡大していくことに重きを置いておられるとのことですが、ゲーム業界での制作ニーズに対する御社の取り組みについてお聞かせください。

杉田(以下杉): ゲーム制作の形態は、ゲーム会社の中で作る場合と外で作る場合とに分かれ、主に中で作る場合は派遣、外で作る場合は受託開発などさまざまなニーズが発生します。デジタルスケープでは大手ゲーム会社を中心に、派遣、受託開発の垣根なくお付き合いをさせていただいています。まだまだ超えなければいけないハードルはありますが、ゲーム制作に関わる全てのニーズに対してサービス提供できるということが、デジタルスケープのあるべき姿だと思っています。

株式会社バウハウス・エンタテインメント クリエイティブサポート事業部・副事業部長 杉田敦氏

株式会社バウハウス・エンタテインメント クリエイティブサポート事業部・副事業部長 杉田敦氏



――派遣と開発の連携とは、具体的にどのように行われているのですか?

西村(以下西): ゲーム会社からの派遣ニーズがあれば、デジタルスケープで対応していますが、例えば、ある一定期間でのキャラクターの大量生産など、派遣だけでは対応できないニーズはバウハウスの受託開発で対応しています。デジタルスケープのデザイナーは、ハイエンドなゲーム作りの経験が多く、背景、キャラクター、モーション、リアルタイムイベントムービーの制作などでは、次世代機向けの実績が多いですが、最近、ゲーム会社からは一本まるごと受けられないかという声をいただくことも多くなりました。市場での開発ニーズが高い携帯ゲーム機はもちろん、PS3やXbox360などの次世代機向けも受けられる体制を準備しています。制作体制を整えられず困っているお客様の声に応えるためにも、プログラマーを入れて一本まるごと制作できる仕組みを目指していきたいと考えています。

株式会社デジタルスケープ ビジネスプロデュース事業部・ビジネスプロデュースチーム・プロデューサー 西村和久氏

株式会社デジタルスケープ ビジネスプロデュース事業部・ビジネスプロデュースチーム・プロデューサー 西村和久氏



――次世代機向けの開発と携帯ゲーム機向けの開発について、制作現場の現状を教えてください。

加藤(以下加): バウハウスには次世代機向けなどハイエンドなゲーム作りが出来るクリエイターが多いのですが、次世代機向けの開発は時間とコストがかかるため、制作側としてはどうやって採算を取るかという課題があります。また、携帯ゲーム機の開発は市場の拡大に伴い増えておりますが、ハイエンドなゲーム作りを希望するクリエイターにとっては、あまり魅力的でないという希望と現実のギャップもあります。売れるもの=作りたいものになっていない現状はあると思います。

株式会社バウハウス・エンタテインメント ディレクター 加藤秀明氏

株式会社バウハウス・エンタテインメント ディレクター 加藤秀明氏



――たとえば次世代機と携帯ゲーム機で、クリエイターの給与に違いがあったりするのですか?

西: いいえ、給与の違いはほとんどありません。携帯ゲーム機の開発の場合は、少人数のラインでやっていくケースか、全て外注に投げるケースが多いですね。例えば中小規模のゲーム会社に多い例として、社内のデザイナーには次世代機向けの開発を担当させ、プロデューサーが外注を使って携帯ゲーム機の開発を行うというケースもあります。社内のデザイナーのモチベーション維持や次世代機向けゲームを自社のラインアップにそろえておきたいという事情があるようです。

――なるほど。それでは適材適所で人材を派遣できるかがポイントになるわけですが、実際のところいかがですか?

加: デジタルスケープの派遣スタッフには、次世代機のようなクオリティの高いものを作れるスキルを持った方や、携帯ゲーム機のようなロースペックに対応できるスキルを持った方など紹介している人材のスキルの幅も広いため、適材適所に派遣出来ていると思います。

――派遣や受託以外で、何か新たな取り組みをお考えですか?

川村(以下川): ここ最近のゲーム業界は大きな変化が起きています。ニンテンドーDSがゲーム以外のシーンで活用されたり、売り切ることで成り立たせていたパッケージ型ゲームビジネスが、更新作業が求められるオンライン型のゲームビジネスに移行しているなど、プラットホームもゲーム機に特化しなくなってきています。また、「セカンドライフ」や「meet- me」などメタバースといわれるプラットホームも盛り上がりを見せており、今後、さまざまな業界が加わって、ゲームの特性を生かしたコンテンツ作りの需要が出てくると思います。こういった業界の変化の中でデジタルスケープでは、人材の派遣や受託開発だけでなく、新しい市場を開拓し、人材が新たに羽ばたけるような場を作る必要があると思っています。ゲームで培った技術やセンスを新しい業界に繋げ、その上で舵取りできる人材を育てていきながら新たな人材需要の開拓を進めたいと思っています。

株式会社デジタルスケープ ビジネスプロデュース事業部・ビジネスプロデュースチーム・エグゼクティブプロデューサー 川村順一氏

株式会社デジタルスケープ ビジネスプロデュース事業部・ビジネスプロデュースチーム・エグゼクティブプロデューサー 川村順一氏



――最近のメタバースの盛り上がりについて、どうお考えですか?

杉: メタバースの市場が現在の枠を超えてどこまで伸びるか見極めていく必要があると思っています。

川: そうですね。メタバースは、MAPなどの膨大な量のデータを作る必要がありますので、多くの人手が必要となると思われます。新しいビジネス環境で、経験の浅い若い人たちのアイデアやセンスが活かせるようになるという点では、期待感があります。

加: メタバースでは必ずしもクオリティレベルの高いものが必要とされないため、クオリティの高いものを作りたいデザイナーとのギャップは出てくると思いますが、日本のゲーム業界全体からみると、新しい業界へ展開していくことは必要だと思います。

――では最後に、今後の抱負を聞かせてください。

杉: ゲームに関わることで出来ないことはないという状態にしたいと思っています。どの企業でも提供していないサービスを常に生み出しながら、ゲーム業界の土台となり、全てのゲーム会社にとってなくてはならない存在であり続けたいと思っています。

川: 私はかつて、ゲーム会社でデジタルスケープの派遣スタッフをマネジメントする側にいたことがありますが、「派遣だから……」という意識はなく、他の開発メンバーも同じ思いでした。これはデジタルスケープが「クリエイター」という高いスキルを持った人材を派遣していたからこそ、受ける側も派遣というのを意識しなかったのかもしれません。高性能な次世代機と携帯ゲーム機ではそれぞれ求めるスキルやセンスは違いますが、ゲーム会社では開発するソフトのプラットホームに合わせて能力を持った人材を配置する必要があります。そのため、人材の数だけでなくスキルやセンスという面も含め的確な人材を供給する役割を担っていきたいと思います。

加: 以前、ゲーム会社が人材に求める点は、特定のCGツールが使えるかどうかという点がほとんどでした。そこでデジタルスケープではツール移行トレーニングにてあらゆるCGツールを使える環境を作ってきましたが、最近ではデザイナーとしてのスキルやセンスを求められるケースが多くなってきました。これからは、デザイナーとしてのスキルやセンスを持った人材を開拓するとともに、そのスキルやセンスを育てる環境を作っていきたいと思います。

川: ゲーム業界は、これからもっと面白くなってくると思います。ファッションや建築といった専門的な知識、センスをお持ちの方に3DCGのスキルを身につけていただき、各業界に送り込む仕組みをデジタルスケープで提供するなどできるといいですね。これからも日本のゲーム産業に対し、常に必要な人材を創る場でありたいと思います。

 デジタルスケープとバウハウスは、派遣とモノ作りの両方のニーズにベストな答えを出しながら新しい派遣の取り組みを模索しているところ。時代はメタバースへ。10年後の人材育成に向けてスタートを切った。「ゲーム業界のブルーオーシャン※」という派遣の可能性を、この4人は開拓している気がした。
※未だ生まれていない市場・未知の市場空間すべて

株式会社デジタルスケープ 詳細は  http://www.dsp.co.jp/。また、Webデザイナー・ゲームクリエイターなどWeb・ゲーム・CG・映像・IT業界の仕事探し応援サイト『withD(ウィズディー)』は   http://wd.dsp.co.jp/ から。デジタルスケープ・グループは、クリエイター、デザイナーに特化した人材コンサルティング会社として1995年スタートした。

株式会社デジタルスケープ 詳細は http://www.dsp.co.jp/。また、Webデザイナー・ゲームクリエイターなどWeb・ゲーム・CG・映像・IT業界の仕事探し応援サイト『withD(ウィズディー)』は http://wd.dsp.co.jp/ から。デジタルスケープ・グループは、クリエイター、デザイナーに特化した人材コンサルティング会社として1995年スタートした。

( 写真:岡部ユミ子 )

記事についてのご意見・ご感想

東京IT新聞 特集ラインナップ

専用サーバ・専用レンタルサーバーは at+link におまかせ!

Apple Store(Japan)

東京IT新聞HOTキーワード
東京ITイベント情報

イベントカレンダーを見る カレンダーを見る