Eコマース(以下、EC)が日本に登場してから約10年。サバイバル率20%という淘汰の時期を経て、成熟期を迎えようとしている。新たなメディアとして、モバイル技術の進化もめまぐるしいなか、2008年をモバイルEC元年と考える向きもある。では、ブロードバンドなど通信インフラが整い、モバイルでも独自の強みを持つ日本であるからこそできる日本オリジナルのECとは?
この2月12日、13日に行われる『ネット&モバイル通販ソリューションフェア2008』(東京・池袋)。このイベントは、まさに、その動きを予感させる注目イベントだ。そこで今回、このイベントの見所と今年のECの動きについて、最新のEC事情に精通し、本イベントのアドバイザリーボートメンバーでもあり、様々なソリューションのコンサルタントを手掛けるオイシックスECソリューションズ株式会社代表取締役社長 吉田卓司氏に話を聞いた。

吉田卓司:オイシックスECソリューションズ株式会社(本社:東京・品川)代表取締役社長。オイシックスECソリューションズは、オイシックス株式会社のEC実業で培ったノウハウをもとに、企業様向けに最適なECソリューションを提供することを目的として2006年に設立、翌年6月に法人化。現在売り上げで数百億円規模の大企業を中心に十数社の顧客を持つ
「2008年のECですか? 世界的な観点から見ても、日本はモバイル先進国といえます。インフラが整った今年がモバイルECの今後10年のゼロポイントになる」と、オイシックスECソリューションズ株式会社吉田卓司社長はまず予測した。
ECの登場はインターネットが普及し始めた1996年頃。その後2003年にITバブルが弾けたことで淘汰が始まり、独自の販売ポリシーを持たない所は苦戦を強いられるようになった。しかし、2000年以降携帯電話の普及が加速し、その頃にiモードが誕生。2005年頃からモバイルECという概念が注目されはじめ、「2008年の今年、モバイルECが本格的にスタートする兆しを見せている」というのだ。
2008年、ECは拡大年となる
「私の中でECは、PCとモバイルというのは別個の存在ではなく、シームレスに繋がるものだと考えています。同じネットワークを利用するものですから。事実、注文の確認メールを携帯電話に飛ばす人も増えていますし、リアルとヴァーチャルの融合、その中でもモバイルがキーとなり、ECが拡大年であると予測しています」とも。
また、この『ネット&モバイル通販ソリューションフェア2008』については、「これまでECについて、展示会や催事は行われて来ましたが、独自のECポリシーを持つ企業が一堂に集まるセミナーはありませんでした。単なる展示物を眺めたり、一人二人の成功例を見聞きするだけでは本当に自社にあったECモデルを探すことは難しいといえるでしょう。まさに問題解決のためのソリューションが終結したイベントがここに誕生したのでしょうか」と吉田氏は続ける。
メディアのロングテール化に対応
「2008年のキーワードのひとつとしてCGMが挙げられます。SNSなど、個人から発信される情報に耳を傾け、お客様と一緒に商品を作ったり、口コミで広めていただいたり、裾野が広がることは間違いない。つまりメディアのロングテール化を上手く使ってECを行うという方向性が確実に広がっていくと考えています」と吉田氏。
実際に、『ネット&モバイル通販ソリューションフェア2008』は2日間に渡り、四会場で計61コマのセミナーが行われるが、その中には、ECとCGMの組み合わせ例として、株式会社オウケイウェイブによる『Q&AによるCGMがマーケティングツールになる』というセミナーや、株式会社ケイビーエムジェイによる『Web2.0的なサイトへの変貌、CGMやSNSを取り込んだソーシャルコマースとは』という講演のプログラムもある。メディアのロングテール化を今後のEC事業に役立たせるヒントを探ることが出来るだろう。さらに最終日には、株式会社Jストリームによる『購買行動プロセスにおけるネット動画の可能性』というセミナーもある。
吉田氏も、ECコンテンツの中で何が今年進化するかというと、「プレゼンテーションやサポートのリッチ化です」という。「動画だったり、音だったりと表現方法は様々ですが、最近は動画のECモデルが成功例として挙がるようになっています。買い方のナビゲーションを画面上でサポート。ナビの仕方も動画やキャラクターを使ったり、購入の手助けをするサービスがECを後押ししてくれるのではないかと思います」とリッチコンテンツの将来性を指摘している。
EC事業者とソリューション事業者のギャップを埋める
また、「普段、コンサルティング業務を通じて思うのですが、売り上げ規模が数百億、数千億円の大企業でも、ECについての知識や取り組み方が、担当者レベルで全く判っていないというケースがほとんど。資金力やシステムというギアはあっても、オイルがないので上手く回すことはできない。そんなイメージですね。企業は、ECモデルの構築の仕方やお客様にとって最高の価値体験をご提供しファンになっていただけるためには、何を選択し導入すればいいか悩んでいます。これはEC事業者とソリューション業者との間に橋渡し的な存在がないからです。このイベントは、EC事業者、新規参入者が抱える様々な問題や課題のヒントを、近未来型ECモデル事例を紹介するセミナーというオイルで発見し、各ブースで解決できる、そんなイベントです」(吉田氏)。

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文:櫻井弘次、写真:藤村徹
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