#011 株式会社オークセール(代表取締役 福島 誠司氏)
【pick up a start-up(注目ベンチャー探訪)】
2008年03月18日(火)
[ 76 号]
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インタビュー
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フルクローズドオークション。聞き慣れない言葉だがそれもそのはず、株式会社オークセールが国内で初めて導入したオークション形式だからだ。
他人の入札価格、入札順位、落札結果を一切非公開(フルクローズド)することでライバル(入札競争相手)に競争心を煽られることがなく、落札価格がむだに高騰するのを抑えられる――というのが同社の説明だが、実際のところはどうなっているのか。
代表取締役社長の福島誠司氏に話を聞いた。

ECサイトなどへの卸が中心、小売1割
福島 「このオークションは実はプライスマーケティングとして行っており、当社の売上の9割強は大手ECサイトやホームセンターなどへの卸売によるものです」
ではオークションは売上の中心ではないのか? 実はここに同社のビジネスの核心がある。オークションで扱う商材は同社のバイヤーが目利きで買い付けた品物や、大手電機メーカーなどが在庫処分のために持ち込んだ物がほとんどを占める。
福島 「仕入れた商品は一体いくらなら消費者にとって『ホンネで欲しい価格』、つまり『売れる金額』なのか。フルクローズドオークションにかけることで入札価格の安易な煽りがなくなり、その商品の最適な販売価格がわかります」
出品される数量は1商品につき数個から数十個と少量だ。

福島 「企業に大量に処分したい在庫品があるとします。例えば、とある大手メーカでデスクトップPCを1000台捌きたいという商談がありました。いきなり全部仕入れると1台が5万円なら5000万円、倉庫費用などもかかってこれは大変なリスク、負担になりますよね。
そこで最初に少量をオークションにかけてプライスマーケティングすると、当社は毎週オークションをやっていますから大体入札開始後3、4日目で最適価格が見えてくる。そのタイミングで今度はうちのお取引先様に『バリューのあるデスクトップPCを1000本押さえられますが是非どうですか』と仕入の打診をする訳です。当社は自社独自の1商品につき3回入札というオークションで最適落札価格のデータを持ってますから、卸先も安心して仕入れることが出来ます。
そこで商談がまとまれば、倉庫を介さずにメーカーから小売店様へ商品を直送することで流通費用の削減も可能となるのです」
つまりフルクローズドオークションをすることで商材の受注予測を行い、在庫のリスクを最小化しているのだ。また、在庫元がナショナルブランドであったとしても、落札価格は落札者本人しか分からないからブランドが傷つくこともない。
何とも舌を巻くビジネスモデルではある。
フルクローズドオークションの発祥は実はイスラエルだ。福島氏の前職はダイヤモンドの専門商社。商社の駐在員バイヤーとしてイスラエル滞在中に、このビジネスに出会った。
福島 「イスラエルは輸入関税が高い上にディスカウントストアのような店もなく、商品を安く買える場がなかった。それで大成功したんです。人口600万の小さな国で日本円にして年商150億円も売り上げていました。
現地で知り合った、現経営パートナーの安尾氏と共に、創業メンバー4名で2000年10月に立ち上げたのが当社です」
当たれば大当たりするとの計算で始めたものの、最初の2年半は経営が厳しく、3度倒産しそうにもなったという。
福島 「ビジネス環境がイスラエルと全く異なり、市場の成熟した日本でそのまま通用すると考えたのは甘かった(笑)。
エンジェル(投資家)の方に助けていただきながら、当時黎明期のネット通販の世界にメーカーに代わってリアルの商流を紹介することで水先案内人の役割を果たせると考えました」
商社マンとしての福島氏と安尾氏の経験はここで活きた。
福島 「ユダヤ人相手にコミットメントの商売をしていましたので(笑)。短期間で大量の商品を回転させるのが性に合っているんでしょうね。
それまでのECはメーカーと交渉して苦心して安く仕入れても扱える量は少なかった。当社はフルクローズドオークションという値決めのシステムがありますから、適正価格で大量の商品を扱うことが出来た。これが躍進の原動力ですね。
ただし最初からフルクローズドオークションを使いこなせていたかというと、決してそうではない。どう化けるか分からなかったけれども、段々と修正して市場の変化に適応して来ました」
現在のオークセールの主要顧客は30代から40代の男性。家電製品や布団がよく売れるという。今後は中堅メーカーとタイアップしてオリジナルブランドの販売も手掛けていく考えだ。また、アイティメディアと提携して「+Dセレクト」というサイトもスタートさせた。

「社員自らが、欲しい、使いたいと思える商品を取り揃えていきたいですね」と話す福島社長、今後は同社のPB商材の開発に注力していくそうだ。
(
文:斉藤円華、写真:岡部ユミ子
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